研究課題/領域番号 |
23K09706
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
遠山 篤史 産業医科大学, 医学部, 助教 (30869160)
|
研究分担者 |
金城 泰幸 産業医科大学, 医学部, 助教 (20772312)
栗田 智子 産業医科大学, 医学部, 准教授 (30519864)
立石 清一郎 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (80570861)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 働き方改革 / 時間外労働 / 選択的注意力 / UFOV / 長時間労働 / 心拍センサ / 自律神経機能 / 医師の働き方 |
研究開始時の研究の概要 |
医師の働き方改革において現行の体制を維持しつつ労働時間の短縮を目指すことは難しいため、自らが時間外労働を把握できる環境を設け、労働時間に対する意識を向上させる必要があり、労働負荷に応じた客観的評価指標が必要であり、身体的、精神的な負担を「定量化」する方法・「可視化」が可能な指標を確立する。 本研究は疲労度の評価法として心拍センサを用いた自律神経機能と高齢者の交通事故発症予測に使用する有効視野検査(UFOV:Useful Field of View)を用いて、未だエビデンスのない医師の長時間労働の身体的・精神的負担の定量化、可視化ができる客観的評価法を開発することを目的とする。
|
研究実績の概要 |
医師の働き方改革において現行の体制を維持しつつ労働時間の短縮を目指すことは難しいため、自らが時間外労働を把握できる環境を設け、労働時間に対する意識を向上させる必要があり、労働負荷に応じた客観的評価指標が必要である。 本研究では、多くの医師の協力を得て、それぞれの業務内容や環境の違いから起こる選択的注意力・自律神経機能への影響と労働時間のセルフチェックを比較評価した上で、以下の問題解決を行う。主観的な評価である労働時間のセルフチェックと比較し、① 選択的注意力の低下や自律神経機能やストレスに影響を与える年齢、性別、業務内容などの条件を、定量的に評価し把握する。② 性別や年齢などの条件に加え業務内容の負荷度を計ることで、休憩・休息日さらには勤務間インターバルの設定を医師別に行う。 高齢者の交通事故発症予測に使用されている有効視野検査(UFOV:Useful Field of View)により選択的注意力や自律神経系が、労働時間や業務内容、生活要因などからどのような影響を受けているか客観的に定量化する試みはこれまで例がない。本研究により客観的評価指標の実現が可能となり、将来的には業務の効率化から労働時間の短縮に発展していく。医師の効率的で安全な就労ができるための客観的評価の基盤構築を行い、安全で効率的な診療を行うことが可能になると考えられる。 以下の項目についてデータ収集する。① 背景:就労施設や勤務・日常生活などの情報:当直の有無・睡眠時間・業務内容など② 客観的評価:UFOV検査を用いた選択的注意力測定③ 客観的評価:心拍センサを用いた心拍変動解析(自律神経機能を測定)④主観的評価:質問票を用いた労働時間のセルフチェックデータ。 今年度は対象とする施設や医師の選定基準の決定・評価を行う方法の適正さの判断や実際の方法の検討・環境の準備などを行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では、多くの医師の協力を得て、それぞれの業務内容や環境の違いから起こる選択的注意力・自律神経機能への影響と労働時間のセルフチェックを比較評価した上で、以下の問題解決を行う。主観的な評価である労働時間のセルフチェックと比較し、① 選択的注意力の低下や自律神経機能やストレスに影響を与える年齢、性別、業務内容などの条件を、定量的に評価し把握する。② 性別や年齢などの条件に加え業務内容の負荷度を計ることで、休憩・休息日さらには勤務間インターバルの設定を医師別に行う。 元々は高齢者の交通事故発症予測に使用されている有効視野検査(UFOV:Useful Field of View)により選択的注意力や自律神経系が、労働時間や業務内容、生活要因などからどのような影響を受けているか客観的に定量化することとしていたが、パソコンを使用して簡便性に欠けると思われる。それと同様の検査がアプリやインターネット上でできる方法を模索しており、候補があがり、ipadやスマートフォンなどで行いないか検討中である。また、心拍センサを用いることとしていたが、自律神経機能などを計れるようにその他の情報も図れるようなデバイスを現在模索中であり、候補があがり、より正確なデータが取れると期待をしている。 研究の背景として就労施設は大学病院や一般総合病院や開業医に依頼をするが、研究者が産婦人科であり、産婦人科が多くなる状態である。元々産婦人科は時間外労働が多いので問題ないと思われるが、その他の診療科にも依頼を行う予定である。その際の診療科の型よりがあることが懸念される。 今年度は研究者が育休を取得したため、研究が大幅に遅れている。初年度は研究の概要のブラッシュアップや問題点の提起・実際行うための基準などを選定した。また、評価を行う方法の適正さの判断や実際の方法の検討・環境の準備などを行った。
|
今後の研究の推進方策 |
医師の業務内容や環境の違いから起こる選択的注意力・自律神経機能への影響とセルフチェックを比較評価した上で以下の問題解決を行う。主観的な評価であるセルフチェックと比較し①選択的注意力の低下や自律神経機能やストレスに影響を与える年齢、性別、業務内容などの条件を定量的に評価し把握する②性別や年齢などの条件に加え業務内容の負荷度を計ることで休憩・休息日さらには勤務間インターバルの設定を医師別に行う。 選択的注意力の評価をパソコンではなく、同様の結果が得られるアプリやインターネットなどの簡便な方法で持ち運び便利な端末で行い、自律神経機能評価を心拍センサのみでなく、睡眠時間や交感神経優位など測定できるウェアラブル端末を用い、簡便により正確な情報を得られるように行っていく。 情報を様々な科・年齢から医師100人(大学病院85名、総合病院10名、開業医5名)選定し、一人につき約1週間の調査を標準とし、以下の項目についてデータ収集する。①背景:就労施設や勤務・日常生活などの情報:当直の有無・睡眠時間・業務内容など②客観的評価:UFOV検査を用いた選択的注意力測定③客観的評価:心拍センサを用いた心拍変動解析(自律神経機能を測定)④主観的評価:質問票を用いた労働時間のセルフチェックデータ データを匿名化・解析を行った上で、以下を明らかにする。①睡眠時間の短縮ならびに在院時間の延長が、選択的注意力や自律神経機能に関連するか。②業務内容(診療、手術、分娩)に応じて、選択的注意力や自律神経機能は変化するか。③当直の有無・当直帯の実労働時間が、選択的注意力や自律神経機能に関連するか。④性別・年齢と業務内容による違いは、選択的注意力や自律神経機能に影響を及ぼすか セルフケアとして自己の健康管理を現場で行うことが重要であり、客観的に評価するために本研究が簡便な測定ツールとして現場に導入されることも期待できる。
|