研究課題/領域番号 |
23K09729
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 明治薬科大学 |
研究代表者 |
酒井 良子 明治薬科大学, 薬学部, 准教授 (30631981)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 関節リウマチ / 全身性エリテマトーデス / 大型血管炎 / 薬剤疫学 / 安全性 / 生物学的製剤 / 分子標的薬 |
研究開始時の研究の概要 |
1年次は関節リウマチ(RA)においてヤヌスキナーゼ阻害薬(JAKI)の血管イベントリスク、生物学的製剤の在宅自己注射の医療経済評価を実施する。また、全身性エリテマトーデス(SLE)および大型血管炎についてはレセプトデータを用いて治療薬の処方傾向を中心に記述する。 2年次はRAにおけるJAKIの悪性腫瘍のリスクを検討することと、生物学的製剤の在宅自己注射の実態および安全性を検討する。SLEにおいては合併症の有病率やそのリスクについて検討する。 3年次はRA患者パネルより得られたアンケートの回答およびレセプトデータにおける医療費のデータを合わせて医療経済評価のモデルを構築する。
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研究実績の概要 |
関節リウマチ(RA)患者におけるヤヌスキナーゼ阻害薬(JAKI)使用下と生物学的製剤(bDMARDs)使用下、メトトレキサート(MTX)使用下で血管イベントの発生リスクを比較した。その結果、RA患者(n=53,448)において患者背景因子で調整した結果、JAKIの血管イベントの調整済みハザード比[95%信頼区間]は1.5 [1.2-2.0](vs. bDMARDs)、1.2 [0.9-1.6] (vs. MTX)とJAKIの血管イベント発生リスクはMTXと有意な差は認められなかったがbDMARDsと比較して有意に高いことが示された。 全身性エリテマトーデス(SLE)における治療薬(グルココルチコイド[GC]、免疫抑制薬、ヒドロキシクロロキン[HCQ])の処方割合などの診療実態についてナショナルデータベースを使って検討した結果、HCQの処方割合は20%程度と諸外国と比べて低く、地域差が認められた。また、JMDCデータを使って、小児・AYA世代のSLE患者における治療薬の処方割合と帯状疱疹(HZ)の有病率の変遷(2015年から2020年)を記述した結果、両世代においてGCの処方割合は70-80%で推移していたが近年、ミコフェノール酸モフェチルやタクロリムスなどの免疫抑制薬の処方割合が増加していた。HZの有病率は両世代とも近年、減少していた。 大型血管炎(高安動脈炎[TAK]、巨細胞性動脈炎[GCA])の診療実態および治療における問題解決に繋げるため、MDVデータを使って患者背景を記述した。TAKの確定診断を有しかつGCが1度でも処方され、GCAが付与されていない患者をTAK(n=1,330)、GCAの確定診断を有しGCまたは免疫抑制薬が一度でも処方された50歳以上の患者をGCA(n=722)と定義し年齢、性、治療薬の処方割合、併存症の有病率を記述した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RAにおけるJAK阻害薬の安全性に関する検討結果は現在論文リバイス対応中であること、SLEの診療実態については学会発表および論文作成を進めていること、大型血管炎の解析も順次進めていることから概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
RA:JAKIの安全性に関して血管イベントのリスクに関する論文は受理に向けてリバイス対応を進める。また、悪性腫瘍の発生リスクに関しても解析を進める。MDVデータを使ってJAKI、bDMARDs、MTXの新規開始RA患者を同定する。悪性腫瘍の発生は悪性腫瘍の確定診断名を有し、かつ化学療法、悪性腫瘍切除術、放射線療法のいずれかの診療行為がなされた場合に発生と定義する。薬剤使用下における悪性腫瘍の粗の発生率を算出後、患者背景因子で調整し、bDMARDsまたはMTXに対するJAKIのハザード比を時間依存性Cox回帰分析で算出する。 SLE:今後はSLE治療薬とHZ発生との関連を検討するためにコホート内ケースコントロール研究のデザインで解析を進める。 大型血管炎:専門医を本研究課題の分担者に加え、臨床上の問題点を整理し、研究実施可能なリサーチクエスチョンの作成と改定を行い、研究デザインの決定後解析を進める。
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