研究課題/領域番号 |
23K09736
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
森田 彩子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授(キャリアアップ) (30595038)
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研究分担者 |
那波 伸敏 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (30617543)
藤原 武男 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80510213)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 人生の転機 / ウェルビーイング / 高齢者 / ライフコース / 選択の自由 |
研究開始時の研究の概要 |
我が国は、現在世界トップクラスの平均寿命・健康寿命を享受しているが、ウェルビーイングは国際的に低く、幸福度は先進諸国の中で最低レベルにある。さらに、欧米諸国で観察されるエイジングパラドックスが観察されず、年齢と共に幸福度が一律に下降している。本研究「日本における自己選択的な人生構築の障壁となる伝統的な社会的構造や規範と高齢期におけるウェルビーイングとの関係」を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
合計21名の地域高齢者を対象に、子どもの頃に描いた理想の人生、成人してからの実際の人生、これまでの人生の最大の転換期となった出来事について、対面インタビューを実施した。また、現在のウェルビーイングの状態について、質問紙を用いて測定を行った。就学前や小学生の時から将来の夢を複数抱いた人がいる一方で、虐待、貧困、親の病気などの逆境に直面して将来の夢を考える余裕がなかった人、現状に満足して将来の夢について特に考えたことがなかった人がいた。成人後は、子どもの頃の夢や目標、または新たに見つけた夢や目標を見つけて邁進した人、生活の安定を重要視して来た人、流れに身を委ねて生きてきた人がいた。しかし、誰しもが、青年期・壮年期・中年期・老年期のいずれかで、受験、結婚、就職、転職、起業、離婚、死別、犯罪などをきっかけに、これまでの信念や生き方を変える、または変えざるを得ない出来事を経験していた。自分の好きなことや得意なこと、またはやりたくないことを念頭に、自分の望む人生を手に入れようと目の前にある選択肢だけでなく、選択肢を積極的に創造しようとする人もいた。自らの意思や考え方に加え、周囲のサポートが転機を乗り越える際に大いに助けになったという声がある一方で、貧困による進学機会の格差、家庭や職場における性別分業や男性上位の考え方、戦時体制や年齢に対する固定観念による労働市場の変化といった社会構造的要因を障壁として挙げた人もいた。個人の要因に加えて、上記のような社会的文化的因子の影響を考慮したトランジション理論の枠組みの必要性が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
都市部で予定されていた質的研究は実施することができた。農村部での質的研究も引き続き実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
農村部での質的研究を実施し、都市部の高齢者から浮かび上がったトランジション理論の枠組みと照らし合わせた後、全国の地域高齢者を対象に質問紙調査を実施して理論検証を行う。
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