研究課題/領域番号 |
23K09761
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
浅村 英樹 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (80324250)
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研究分担者 |
原山 雄太 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (40969036)
小林 寛也 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (00826886)
佐藤 紀子 信州大学, 医学部, 助手(特定雇用) (00649254)
塩崎 哲也 信州大学, 医学部, 助教(特定雇用) (00722018)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 劣化DNA / マイクロハプロタイプ / 個人識別 / 法医学 |
研究開始時の研究の概要 |
DNA 型鑑定を用いた個人識別法は、現在 STR 解析が主流である。しかし、劣化 DNA 試料を対象とした DNA 鑑定には未だに多くの課題が残されており、 STR 解析に代わる手法に関する研究は乏しいのが現状である。今回、STR 解析に代わる個人識別法として、次世代シーケンサーによる「マイクロハプロタイプ (MHs) 解析」を用いた個人識別法の構築し、劣化 DNA 試料への応用を計画している。本研究は、日本人集団のデータに基づいて解析システムを構築すること、さらに劣化 DNA 試料解析のために解析系を最適化するという国内外でも初の試みであり、劣化 DNA 試料解析の精度向上が期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究は,日本人集団の個人識別に有用なマイクロハプロタイプ(MHs)マーカーを用いた個人識別を目的としており,特に法医学分野で扱う骨や歯などの硬組織に残存する劣化したDNA試料の解析に最適化したパネルの構築を目指している.令和5年度は,以下の項目について研究を実施した. (1)MHs解析システムの構築 日本人集団を分類するためのシステム構築において,日本人の個人識別に有用なMHsの選択を行った.候補マーカーから,アレル頻度を基に日本人分類に有用なマーカーを抽出した.日本人識別に適した遺伝的多様性を反映するマーカーの候補選択することができ,この選定結果をもとに劣化DNA解析に対応可能なパネルの設計を現在検討している. (2)劣化DNA試料の作製と既存法との比較検討 現在,硬組織からのDNAを用いた個人識別はマルチプレックスSTR解析が主流である.しかし,現行法では劣化DNAにおいては個人識別を行うための十分なデータを得ることが出来ないことが稀にある.作製したMHs解析システムの有用性を検証するためには,法医学実務で遭遇する劣化したDNA試料を用いる必要があるため,試料の準備を行った. 法医実務試料を用い,DNA抽出を行い,DNAの劣化度を評価するために既存STR解析試薬であるGlobalFiler Kit及びDNAの分解度を定量的に評価するQuantifiler HP Kitを使用し抽出DNAの劣化度を評価した.現在,上記検証によりSTR検出率が50%以下かつ分解度が大きい試料を,5例分収集することができた.これらの試料と我々のシステムが他の既存STR解析法に対してどの程度の優位性を持つかを評価することが可能と考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要のとおり,現在の進捗状況は下記のとおりである. (1)日本人集団を識別可能なMHsは選定したものの,劣化試料に対する条件設定がまだできておらず,現在条件検討を進めている. (2)既存のSTR法で解析がやや困難な劣化DNA試料の作製は順調に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策については,以下の点を検討している. (1)MHs解析システムの構築 : 検討中のマーカーを適宜,加除しながら劣化DNAに対応可能なMHs解析システムの構築を行う. (2)MHs解析システムの正確性試験及び感度検証 : 作製した解析システムをDNAが既知の試料と比較し,システムの正確性を検証し,希釈系列による感度検証を行う. (3)劣化DNA試料の継続的な作製 : 劣化DNA試料の継続的な収集を行い,解析システムの有効性検証の準備を行う. (4)システム構築についての研究成果をまとめ,学会発表を行う.
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