研究課題/領域番号 |
23K09768
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
|
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
新谷 香 (石田香) 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50345047)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | アルコール / 筋萎縮 / ユビキチンリガーゼ / 老化 / C2C12細胞 / muscle / atrophy / alcohol / miRNA / senescence |
研究開始時の研究の概要 |
筋肉が損傷を受けると、骨格筋の幹細胞である筋衛星細胞が活性化して筋芽細胞となり、筋細胞へ分化し損傷部位を再生する。筋再生のメカニズムの解明は、法医症例でよく遭遇する高齢者のサルコペニアやアルコール中毒患者のアルコール性筋萎縮などの病態を理解する上でも重要な課題である。申請者は、筋芽細胞が老化すると、遺伝子発現を調節する筋特異的miRNAの発現量が変化する結果、筋線維を構成する筋管への分化能が低下することを見出した。本研究では、加齢や慢性のアルコール摂取によって、筋特異的miRNの発現量が変化することで、筋再生の要となる筋芽細胞の筋分化能が低下し、筋萎縮が進行するという仮説に基づいて実験を行う。
|
研究実績の概要 |
本年度はまずラットの慢性アルコール摂取モデルを用いて、筋萎縮が速筋優位に起こることを確認し、速筋の萎縮に関与するユビキチンリガーゼの探索を行った。4-5週齢のラット雄にLieber-DeCarliのエタノール含有液体飼料を8週間摂取させた。コントロール群はペアフィードを行った。速筋である長趾伸筋の湿重量はエタノール摂取群で15%減少していたが、遅筋であるヒラメ筋では変化がなかった。長趾伸筋の速筋線維、ヒラメ筋の遅筋線維の横断面積を測定したところ、エタノール摂取群では速筋線維が有意に萎縮し、遅筋線維はやや肥大していた。E2ユビキチンリガーゼであるUBR2の発現量は、長趾伸筋ではエタノール摂取によって上昇したが、ヒラメ筋では変化がなかった。一方、筋組織特異的E2ユビキチンリガーゼであるMuRF1の発現量に変化はなかった。 この現象を詳細に検討するため、マウス筋芽細胞株C2C12を速筋線維の性質を持つ筋管細胞に分化させ、エタノールあるいはアセトアルデヒドを添加した。筋管の幅は6時間後にそれぞれ10%、20%縮小していた。アルコール脱水素酵素阻害剤共存下でエタノールを添加すると筋管細胞幅の縮小が抑制されたことから、エタノール代謝物のアセトアルデヒドが筋管細胞の縮小を引き起こすと考えられた。アセトアルデヒド添加のC2C12筋管細胞はUBR2が増加していた。siRNAでUBR2をノックダウンさせたC2C12筋管細胞ではアセトアルデヒド添加による縮小が有意に抑制された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、動物モデルと細胞モデルの両方でエタノールによる筋萎縮を確認し、萎縮に関与すると思われるユビキチンリガーゼを見出したため。
|
今後の研究の推進方策 |
候補となるユビキチンリガーゼの関与をsiRNA法などを用いて確認する。このユビキチンリガーゼの活性化が速筋特異的に起こるメカニズムをC2C12細胞を用いて解明する。
|