研究課題/領域番号 |
23K09770
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
國中 由美 和歌山県立医科大学, 医学部, 特別研究員 (60843282)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | M1/M2マクロファージ / 受傷後経過時間 / 創傷治癒 / マクロファージ |
研究開始時の研究の概要 |
皮膚創傷治癒過程におけるマクロファージの分極化(M1およびM2サブセット)の時間的・空間的出現様態を解析し,それらの結果を受傷後経過時間判定に応用可能か否かを検討する研究である.基礎的研究ではマウスを用いて皮膚損傷モデルを作製し,その治癒過程におけるM1およびM2マクロファージのそれぞれの出現様態を経時的に明らかにする.実務的研究では,基礎的研究の結果に基づき,受傷後経過時間の判明しているヒト剖検皮膚試料を用いてM1・M2マクロファージ出現を免疫組織化学的に解析する.最終的には,マクロファージM1/M2バランスが受傷後経過時間判定の指標としての法医実務的有用性を検証する.
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研究実績の概要 |
マクロファージは、自然免疫系の特殊な長寿命の食細胞です。マクロファージは、好中球とともに感染に対する最初に応答して機能します。さらに、マクロファージはサイトカインとケモカインを放出することにより、炎症の開始に重要な役割を果たし、サイトカインとケモカインが、他の免疫細胞を炎症部位へ動員させます。マクロファージの分類は、シグナル伝達分子、増殖因子、転写因子、エピジェネティックおよび転写後の機序と変化、ならびにサイトカイン、細胞間接触、代謝物などのニッチシグナルなどさまざまな因子に応じて異なる表現型とマクロファージの活性化状態に達するため、依然として非常に見解が分かれるトピックです。一般にマクロファージはその機能と活性化に基づいて分類することができ、標準的に活性化されたM1マクロファージ、および代替的に活性化されたM2マクロファージの2つのサブタイプに分けられます。創傷治癒中の不十分に制御された応答では、マクロファージが線維症を引き起こすことも知られている。マクロファージが主要なプレーヤーとなる創傷治癒過程におけるM1型/M2型の態様を解析して,受傷後経過時間の判定に応用する。 本年度はマウス皮膚創傷モデルを用いて,経時的に創傷部を採取し,リアルタイムRT-PCRにより,M1マクロファージのマーカーおよびM2マクロファージのマーカーを検出した.受傷直後からM1マクロファージのマーカーの遺伝子発現亢進が認められ,治癒過程が進行するにしたがってM2マクロファージのマーカーの遺伝子発現の亢進を認めた.さらに,経時的に採取した創傷部を用いてパラフィン切片を作製し,蛍光多重免疫染色によりM1およびM2マクロファージを検出したところ,遺伝子発現解析の結果と同様に,創傷治癒過程前半ではM1マクロファージが,後半ではM2マクロファージが優位であることが判明した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスを用いた実験を行うとともにヒト剖検試料の収集に努めた. 野生型マウス(C57BL/6J)を深麻酔下で剃毛した背部皮膚に直径4 mmの打ち抜き損傷を作製した.損傷作製後,経時的にマウスを過麻酔により安楽死させ,損傷部組織を採取した.対照試料は損傷を作製していないマウスの正常皮膚より採取した.マウス皮膚創傷治癒糧におけるM1およびM2マクロファージの態様が,遺伝子レベルおよびタンパクレベルで判明した.
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今後の研究の推進方策 |
マウス皮膚創傷治癒糧におけるM1およびM2マクロファージの態様が判明したことにより,ヒト受傷後経過時間判定に応用可能か否か検証する予定である.これまでに収集してきた受傷後経過時間が判明している皮膚試料を用いて,蛍光多重免疫染色を行い,M1およびM2マクロファージの分布を検証する.
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