研究課題/領域番号 |
23K09773
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
稲垣 健志 自治医科大学, 医学部, 助教 (20775895)
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研究分担者 |
鈴木 秀人 自治医科大学, 医学部, 教授 (00508749)
山崎 礼二 自治医科大学, 医学部, 講師 (00870718)
大野 伸彦 自治医科大学, 医学部, 教授 (10432155)
東 森生 自治医科大学, 医学部, 講師 (90709643)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 脳血管周囲マクロファージ / 脳細動脈硬化 / 血管線維化 / 血管リモデリング / 加齢 / 老化 |
研究開始時の研究の概要 |
脳卒中の病態形成には脳細動脈硬化などの血管の構造変化(血管リモデリング)が重要である。脳細動脈硬化を来す高血圧ラットでは脳血管周囲マクロファージ(PVM)がⅠ型コラーゲンを産生し、その増生で血管線維化が進行する。そこで本研究では、脳細動脈硬化を来す病態モデル動物やヒト剖検脳を用いて、脳卒中における脳細動脈周囲のコラーゲン代謝機構や病態・予後に果たすPVMの役割を解明し、脳卒中の発症予防や予後改善への展開を目指す。
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研究実績の概要 |
脳卒中の最大の危険因子は高血圧と加齢であり、その病態には脳細動脈硬化などの血管の構造変化、すなわち血管リモデリングが深く関与している。高血圧ラットにおいて脳細動脈硬化が進展する過程では、脳血管周囲マクロファージ(PVM)がⅠ型コラーゲンを産生して血管線維化が進行するが、PVMが血管病変の進展や個体の予後に及ぼす影響は依然として不明である。 本研究の目的は、脳細動脈硬化を来す種々の病態モデル動物やヒト剖検脳を用いて、脳卒中における脳細動脈周囲のコラーゲン代謝機構や病態・予後に果たすPVMの役割を解明することである。 加齢による脳細動脈硬化の進展とⅠ型コラーゲンの分布や量的変化、コラーゲンとPVMをはじめとした周囲の細胞との位置関係を明らかにするために、正常血圧ラット(WKY/Izm)の加齢による「老化ラット」(1、3、6、12、18、24ヶ月齢の雄の個体、各3匹ずつ)を用いて、透過型電子顕微鏡による超微細構造観察を行なった。主な結果:1)いずれの月齢でも脳細動脈周囲にコラーゲン線維が観察され、加齢に従って徐々にコラーゲン線維が増加していた。1ヶ月齢と比較して18、24ヶ月齢では有意なコラーゲン線維の増加が認められたが、6ヶ月齢から12ヶ月齢にかけてのコラーゲン線維の増加は緩徐であった。2)18ヶ月齢までは脳細動脈周囲にのみコラーゲン線維を認めていたが、24ヶ月齢では脳細動脈から離れた脳実質にもコラーゲン線維が観察された。3)脳細動脈周囲の細胞に着目して観察すると、1ヶ月齢から3ヶ月齢にかけてはPVMが大型化する傾向を示したものの、その後は12ヶ月齢にかけては大きな変化は見られなかった。ところが1ヶ月齢と比較して18、24ヶ月齢ではPVMのライソゾームが顕著な空胞化により肥大し、細胞が有意に大型化していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、主に正常血圧ラットの加齢による「老化ラット」を用いて超微細形態観察を行い、その結果を解析して国内学会での発表を行なった。また、国際誌への投稿を準備中である。一方、動物モデルを用いた実験の進捗やヒト剖検脳の採取が十分とは言えず、研究全体としてはやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降、引き続き、 1)動物モデルでの脳血管周囲マクロファージ(PVM)の除去による血管線維化の程度や個体の予後に及ぼすPVMの役割の解明 2)種々のモデル動物を用いた脳細動脈硬化の病態におけるⅠ型コラーゲン産生・分解の不均衡が生じる機序の解明 3)ヒト剖検脳での血管リモデリングと病歴の解析による脳卒中の増悪・改善因子の同定 について実験を進め、その結果を解析して、学会発表や論文投稿を行う。
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