研究課題/領域番号 |
23K09774
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
佐藤 文子 北里大学, 医学部, 教授 (70328128)
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研究分担者 |
落合 恵理子 北里大学, 医学部, 助教 (60760270)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | CPT2遺伝子 / 熱中症 / 熱不安定性フェノタイプ症 / 入浴中の急死 / 温熱 / ミオグロビン / 法医解剖 |
研究開始時の研究の概要 |
北里大学医学部法医学では、年間約300-400例の異状死体を取り扱っており、入浴中に急死された遺体は約30-40例程度扱っている。剖検例全例について、各臓器を組織検査用にホルマリン固定後に、パラフィンブロックを作成し、鏡検用にHE標本を作製している。また、剖検時検査用に、血液、尿、胃内容は-80℃のフリーザーに凍結保存している。よって、研究対象となる、病理組織所見をレトロスペクティブに再検討することは可能であり、入浴中の急死の剖検例は過去10年間で約100例程度検討可能である。また、CPT2遺伝子多形については、採取した血液を検体としてDNAを抽出し、遺伝子検索することが可能である 。
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研究実績の概要 |
熱中症疑いの死亡例におけるCPT2遺伝子の多型解析を行い、関連性について検討を行った。北里大学医学部法医学で2013年1月から2022年5月に扱った症例のうち、熱中症およびその疑いと診断された剖検10例、検案4例から採取された血液を試料とした。DNA抽出には、QIAamp DNA Investigator Kit(QIAGEN)および、QuickGene-AutoS DNA Blood Kit(KURABO)を用いた。CPT2遺伝子の全エクソン領域についてサンガーシーケンスを行い、塩基配列情報を取得した。検出された遺伝子多型について、dbSNP上の日本人の集団頻度と比較した。本研究は北里大学ヒトゲノム研究審査委員会の承認を受けて行った。熱中症およびその疑いのある症例において、c.1055T>G (F352C) が2例、c.1102G>A (V368I)が12例、c.1939A>G (M647V) が1例に認められた。これらの多型は熱不安定性フェノタイプ症と関連があるとされているが、その頻度は日本人集団と比べて有意に高くはなかった。この中で、熱中症での入院歴のある症例ならびに救急搬送時に高体温を呈していた症例の2症例でF352CとV368Iの2つの多型が確認された。この多型の組み合わせは、41℃におけるCPTⅡの酵素活性が30分でwild typeの約45%まで低下することが先行研究で報告されている。さらに、尿中ミオグロビン濃度が高値を示した1症例でc.1717C>T(L573F)がみられた。これはdbSNPで未報告の多型であり、機能は明らかになっていないが、高体温下におけるCPTⅡの酵素活性に影響を及ぼした可能性も考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、入浴中の急死例とコントロール例のCPT2遺伝子の解析しており、順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
入浴中の急死、コントロール例(外傷例)について、CPT2遺伝子の多型解析を施行している。今後、熱中症例と比較していく予定である。 同時に、入浴中の突然死例の腎臓の尿細管内の円柱についても調査する予定である。
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