研究課題/領域番号 |
23K09778
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
西口 美紀 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (50351797)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 覚せい剤 / 依存 / 線条体 / タンパク質 / LCMS/MS / 質量分析装置 |
研究開始時の研究の概要 |
法医実務において最も経験する乱用薬物は覚せい剤(MAP)である。薬物事犯の中でMAPの検挙人員は最も多く、また67%(令和3年)という再犯率の高さは、MAP使用者の薬物依存の深刻さと治療の必要性を示している。これまで我々は、乱用薬物の強化作用にとって重要な神経回路である腹側被蓋野-側坐核および黒質-線条体系ドパミン(DA)神経系において、MAPによって引き起こされるDA受容体およびドパミントランスポーターのmRNAやタンパク質発現率を測定し検討してきた。これらの結果を元に、乱用により変化する特定のタンパク質および遺伝子を測定することでMAPによる依存形成のメカニズムの一端を明らかにしたい。
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研究実績の概要 |
乱用薬物の強化作用にとって重要な神経回路となっている腹側被蓋野-側坐核および黒質-線条体系ドパミン(DA)神経系を中心に、覚せい剤(メタンフェタミン:MAP)によって引き起こされる神経細胞の変化と、乱用薬物によって発現する精神病発現のメカニズムについて、DA受容体およびドパミントランスポーター(DAT)のmRNA、タンパク質発現率から分子レベルでの変化と、その変化を誘導する遺伝子の変異について現在検討を行っている。 これまでに慢性的にMAP投与されたラットの線条体・側坐核においてDATのmRNA発現量に有意差が確認され、度重なるDAの過剰活動がDATのダウンレギュレーションを起こしていることが推察された。最終的な機能発現を議論するためにmRNA量のみならずタンパク質発現量の確認・定量を行ったところ、慢性投与だけではなく、単回投与においてもDATタンパク質の発現量に低下が見られた。これは依存形成の初期変化には極めて重要であり、乱用者が覚せい剤を止めることが出来ない状況は個人の意志の弱さが要因なのではなく、わずか1度の薬物使用によって脳神経に不可逆的な変化が起こっている可能性がある。これらを確認するた め、より正確で再現性が高いと考えられるLCMS/MSを用いたタンパク質定量法を模索しているが、現在目的タンパクをLCMS/MSにアプライできるレベルまで精製するための抽出方法とLCMS/MSの条件設定について検討しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当研究以外の実務業務や教育活動についての負担が増加したため、当研究のエフォートが低下した。 またキットを使ったLCMS/MSアプライ用のタンパク抽出およびサンプル調製における精製度が安定しておらず、もうしばらく検討時間が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
キット等を使用したLCMS/MS用のタンパク抽出およびサンプル調製について、慎重にデータを得たいと考えているが、データが安定しないようであれば、使用するキット自体を変更することも考慮したい。
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