研究課題/領域番号 |
23K09806
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58050:基礎看護学関連
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研究機関 | 姫路大学 |
研究代表者 |
野地 有子 姫路大学, 看護学部, 教授 (40228325)
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研究分担者 |
野崎 章子 千葉大学, 大学院看護学研究院, 講師 (90361419)
飯島 佐知子 順天堂大学, 医療看護学部, 教授 (80389890)
溝部 昌子 西南女学院大学, 保健福祉学部, 教授 (00625684)
神島 滋子 令和健康科学大学, 看護学部, 教授 (00433136)
岡本 美代子 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (30735858)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | The nGlobe guideline / Cultural diversity / Health care disparities / Cultural safety / Nursing administration / The US CLAS Standards / 普及と評価研究 / 医療病院の文化安全 / 病院と看護の国際化ガイドライン / 文化多様性の包摂 / 医療較差の解消 / 看護管理 |
研究開始時の研究の概要 |
グローバル化の加速やCOVID-19パンデミックにより人々の信念や行動の相違による対立など文化多様性への配慮や、文化や言語の違いから生じる医療格差の解消が重要視されている。日本では外国人患者受け入れ対策はすすめられているが、看護実践に資するものは少なく、全米病院ガイドラインCLASに匹敵するものはみられない。 本研究では“病院と看護の国際化ガイドライン”の普及と活用により、文化多様性の包摂と医療格差の解消をめざす導入時評価研究である。どのように保健医療機関が本ガイドラインを導入し実装するかのプロセスを明らかにする。 全米病院ガイドラインCLASの評価研究を参考にした日本で初となる研究である。
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研究実績の概要 |
文化多様性の包摂と医療格差の解消を目的に、病院と看護の国際化ガイドラインの普及と活用を課題テーマとした3年計画の研究の初年度にあたり、国内5名の研究分担者と、協力者および海外共同研究者らと進めた。本研究は3相から構成されており、初年度は第1相のnGlobeガイドラインの普及のテーマに取り組んだ。ガイドラインをわかりやすく伝えるための手引きの作成、ガイドラインの規格について検討した。また、導入時評価のために、ガイドライン開発時に参考にした、米国の全米CLAS(文化的・言語的に適切なサービス)標準が実施した評価研究で実施された調査項目について、我が国での実施にむけた検討を行った。これらの研究班での検討をもとに、2024年3月に、ワシントンD.C.にある米国保健福祉省マイノリティ・ヘルス局を研究代表者および分担者と訪問し、対面による検討会を開催した。出席者は、ガイドラインとCLAS標準の開発研究者および普及・運用の専門家であった。nGlobeガイドラインの紹介を行い、日米比較を通して意見交換を実施した。その結果、用語の定義、普及に関するコンセプトの日米の特徴、保健医療専門職の教育、ガイドライン評価の4点について検討された。全米CLAS基準では、文化に関連する用語の定義と関連性が図示されている。患者中心の医療(PCC)は、ガイドライン普及に役に立つ概念であり、日本ではPCCは専門職連携(IPE&W)と相まって広く受け入れられている。保健医療専門職の教育のために、CLASによって工夫された教育キットが開発され、ウェブでの使用と実践研修が提供されている。実践研修前後に能力アセスメントが行われ、短期間でも能力構築が観察されており、継続的な研修の必要性が述べられた。また。病院組織が全米CLAS基準を採用することを決定する重要な要因として、リーダーシップによる支援があげられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
進捗状況で、実施したことは、国内研究分担者とのオンラインおよび対面による研究会議、国内研究協力者および海外共同研究者、専門家による専門的知識の提供などを、オンラインと対面で実施した。その成果を、2023年韓国ソウルで開催された、The 14th International Nursing Conferenceで報告した。また、米国ワシントンD.C.にある米国保健福祉省マイノリティ・ヘルス局を研究代表者および分担者と訪問し、対面による検討会を開催した結果について、日本健康科学学会誌に投稿し、査読後の掲載決定通知を受けた。論文タイトルは、「Culturally and Linguistically Appropriate Services in Health Care: Report on Japan-U.S. Comparative Study Tour」で、米国CLAS開発者らとの共著とした。この過程で、追加の文献検討を行った。特に、医療格差に関する文献検討は、総論として日本健康科学学会誌に投稿が済み、査読を受けている。また、日本看護評価学会の次回学術集会で、本科研課題の研究成果を基盤としたシンポジウムが企画されており、研究進捗の第1相および2相の推進に資する機会を得て進めている。
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今後の研究の推進方策 |
病院と看護の国際化ガイドラインの普及と活用を課題テーマとした3年計画の研究の初年度にあたり、これまでの研究実績を基盤に、国内外の研究班メンバーおよび協力者とのチームづくりが順調にすすんでいることを継続し、理論基盤としての概念整理の論文化、海外共同研究者らとの共同執筆による論文発表などの学術発信を、ますます加速させる。そのうえで、日本におけるnGlobeガイドラインの普及と導入時評価を行うにあたり、24年を経過した米国のCLASの開発とイノベーションを参考にし、我が国のデータ収集を実施していく。本研究の実施により、我が国の病院、患者、社会に適した医療格差を解消するガイドラインの導入方法を検討し、文化や言語の違いによる医療格差の解消に役立てる。アウトプットは、英語を中心とするが、専門紙だけでなく、臨床の場における導入にむけた成果物も含めて開発をする。
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