研究課題/領域番号 |
23K10017
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58060:臨床看護学関連
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研究機関 | 湘南鎌倉医療大学 |
研究代表者 |
吉野 由美子 湘南鎌倉医療大学, 看護学部, 准教授 (30352769)
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研究分担者 |
渡邊 潤子 名古屋女子大学, 医療科学部, 講師 (70965318)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | ため息 / アンガーマネジメント / ストレス / 怒り / 心拍変動解析 / 呼吸運動 / 呼吸波形 / 医療従事者 / ストレスマネジメント |
研究開始時の研究の概要 |
苛立ちや怒りといった負の感情は、身体的健康問題との関連が指摘されており、社会生活においても対人関係上の問題につながるため、セルフマネジメントが求められる。 本研究では、深呼吸に比べて筋緊張緩和効果、リラクセーション効果があるため息を用い、『ため息をつくと幸せが逃げる』ということわざを、ため息の適応的効果から『ため息をつくことで幸福をつかむ』ことに活かすことを目的とする。心電図及び呼吸機能等の生理指標と心理指標を用いて心身両面の反応から、対人援助職の一つである医療従事者等を対象にその効果を検証し、ため息を医療従事者等のストレスマネジメントに活用し、心身の負担軽減し、対人援助関係円滑化に繋げる。
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研究実績の概要 |
本研究は、ため息を意識的(以下、随意的嘆息)に取り入れることで、随意的嘆息の心身への作用により負の感情を安定させることができるか検証し、その結果をもとに随意的嘆息を対人援助職者のストレスマネジメントに活用し、心身の負担軽減および対人援助関係の円滑化に繋げることを目指している。令和5年度は、次の2点について取り組んだ。 1点目として、随意的嘆息の作用および特徴を明確化するために、健康成人を対象として実験を行った。呼吸パターンとして深呼吸と随意的嘆息、随意的嘆息では快感情によるものと、不快感情によるものを設定して呼吸波形および心拍変動についてデータを収集した。併せて怒り特性についてもデータを収集した。実験協力者を30名として計画し、21名の協力者のデータ収集を終了した。現在は、①各呼吸パターンによる心拍変動解析から随意的嘆息の作用の解析に着手、②各呼吸パターンの呼吸波形から随意的嘆息の特徴を解析するためのプログラムの作成および解析のテストの進行、③怒り特性と各呼吸パターン後の心拍変動の相関性の3点について検討を進めている。また、実験結果を学会発表するための準備を行っている。 2点目として、「対人援助職のストレスマネジメントプログラム」を開発するための準備として文献検討および関係機関とのネットワーク構築を行った。文献検討では、アンガーマネジメントに焦点化して①怒りの特徴を明確化するための尺度の検討、②アンガーマネジメント法、③効果検証方法の3点から先行文献を検討した。また、「対人援助職のストレスマネジメントプログラム」実施にむけ、倫理審査申請の準備と実施機関として主に精神科病院を想定し、機関及び協力者とのネットワークの構築に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度は、実験および実験データの解析までを計画していた。しかし、現在も実験を継続している状況である。実験協力者の予定人数30名のうち21名の対象者の計測は終了したが、計測を終了したのはほぼ女性である。 遅れを生じた要因は①倫理審査委員会の承認、②実験機材購入、③感染防止対策を講じながら実験を実施したために時間を要したことが挙げられる。これらにより、予備実験、計画進行の遅れにもつながった。 ①については審査スケジュールに合わせて対応を終えた。②については、HEXOSKIN、BIOSIGNALSPLUXのセンサー類、スパイロメーター等は、コロナ明けで受注が集中したこと、代理店を通して海外から取り寄せる必要があり、発注から入手までに1~3か月の時間を要したが、実験に必要な機材は調達できた。③については、実験は、1回1名ずつ、準備から実験終了まで、所要時間は約3時間程度、1日に実験を実施可能な人数は最大2名で実施していること、研究協力者の多くが所属機関の学生となり、春休み期間となったため、協力者と調整可能な日程が限定されたこと、協力者の体調により実験中止や延期措置を講じたことから実験実施に2か月程度を要した。さらに、機関の特徴から男女比に差があり、男性の協力者が得られにくい状況であった。 進捗の遅れを取り戻すべく、現在、残る協力者を男性に絞り実験日程の調整および実験を進めている。また、計測が終了した対象者のデータの解析は、随時進めている。随意的嘆息の作用および特徴の明確化については、各呼吸パターンによる心拍変動解析から随意的嘆息の作用の解析、各呼吸パターンの呼吸波形から随意的嘆息の特徴の解析を行う計画であるため、心拍変動解析、呼吸波形解析の順に優先順位をつけ取り組み、心拍変動解析結果については、第一報として学会発表するための準備を進めている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策について、次の2項目のように実施する。 1.随意的嘆息の作用および特徴を明確化については、実験協力者を男性に絞りって募集を継続して、令和5年度の実験実施状況より、1~2か月程度を目途に実験を完了する。取得したデータから、各呼吸パターンの呼吸波形をもとに、随意的嘆息の特徴、各呼吸パターンによる心拍変動解析から随意的嘆息の作用を解析する。また、怒り特性と各呼吸パターン後の心拍変動の相関性について解析する。 2.「対人援助職のストレスマネジメントプログラム」実施計画の立案・実施については、先行研究および令和5年度から取り組んでいる実験の結果を基にプログラムを作成、倫理審査委員会への倫理審査申請、協力施設への協力依頼、協力施設内での協力者の募集をし、プログラムを実施、評価をする。プログラムの実施・評価においては、令和5年度に実施した実験手順を活かし、効率的効果的に行う。 1の随意的嘆息の作用及び特徴の明確化は、取得したデータから様々な視点でデータ解析をすることが可能である。しかし、データ解析プログラムの作成・動作の状況により解析に遅れを生じる可能性がある。その場合には、作用と特徴を明確化する範囲を焦点化して検討する。また、1と同時に2を進めることでスケジュールの遅れからの回復を図る。
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