研究課題/領域番号 |
23K10042
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58060:臨床看護学関連
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研究機関 | 常磐大学 |
研究代表者 |
福田 大祐 常磐大学, 看護学部, 准教授 (40777546)
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研究分担者 |
森 千鶴 東京医療学院大学, 保健医療学部, 教授 (00239609)
池内 彰子 常磐大学, 看護学部, 教授 (10458242)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 軽度認知障害 / ワーキングメモリ / 実行機能 / 看護介入プログラム / 介入プログラム |
研究開始時の研究の概要 |
軽度認知障害の看護では認知機能障害を改善し、地域での生活機能を維持・向上する介入方法の構築が課題となっている。これまでの調査では物事の遂行に必要な実行機能の障害が認められ、軽度認知障害のプランニング能力を高める介入プログラムを作成した。近年、実行機能は下位機能の注意や中央実行系を統合するワーキングメモリの作用により支持されていることが解明されてきた。本研究では軽度認知障害者のワーキングメモリを活性化し実行機能を高める複合的な看護介入プログラムを開発し、効果を検証する。その成果により、患者の地域での活動と参加を促し認知症の発症予防に向けた新たな看護介入の臨床的応用が期待される。
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研究実績の概要 |
軽度認知障害者の看護では中核症状の認知機能障害を改善し、地域での生活機能を維持・向上する介入方法の構築が課題となっている。これまでの研究者の調査では、軽度認知障害の初期段階より物事の遂行に必要な実行機能のプランニングの障害が認められ、服薬管理や金銭管理、家事などの手段的ADL(日常生活動作)の低下に影響を与えていた。この根拠をもとに軽度認知障害者のプランニング能力を高める介入プログラムを作成し、その効果を検証してきた。近年、実行機能は下位機能の注意や中央実行系を統合するワーキングメモリの作用により支持されていることが解明されてきた。軽度認知障害者のワーキングメモリを活性化することで包括的な実行機能の改善が期待されるが国内外の報告において検証されていない。本研究では軽度認知障害者の脳機能の特徴をふまえ、ワーキングメモリを活性化し実行機能を高める複合的な看護介入プログラムを開発し、効果を検証することを目的としている。その成果により、患者の地域での活動と参加を促し認知症の発症予防に向けた新たな看護介入の臨床的応用が期待される。 2023年度の研究計画は、看護介入プログラムを作成することであった。これまでの研究者の軽度認知障害の実行機能と注意機能、手段的ADLとの関連性についての研究結果や軽度認知障害の前頭連合野とワーキングメモリの作用、さらに介入研究に関する文献検討から、本研究における実行機能への介入方法を明確にした。その結果をもとに、研究者が作成した軽度認知障害者のプランニング能力を高める介入プログラムを応用し、ワーキングメモリを活性化して実行機能を包括的に高めるためのプログラムを作成した。プログラムで実施する課題は対象者の個別性に合わせて、介入期間に取り組みたい手段的ADLの活動を各自が選択できるようにする計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は軽度認知障害のワーキングメモリを活性化し実行機能を高める看護介入プログラム原案を作成した。研究者のこれまでの研究成果や文献検討により、軽度認知障害の実行機能や注意機能、手段的ADLとの関連性、脳機能の前頭連合野とワーキングメモリとの関連から、介入プログラムの根拠を抽出し作成を進めた。実行機能は前頭連合野において下位機能のワーキングメモリの作用により支持されていることが分かっている。また、ワーキングメモリは脳内の情報処理や注意機能を制御し、目標とする作業をスムーズに操作する中央実行系を統合する重要な役割がある。先行研究によると、軽度認知障害者の生活機能を維持・向上するためには実行機能を包括的にとらえ基礎レベルを含めた複合的な介入プログラムの開発が必要であるとされている。これらの根拠をもとに介入プログラムを作成した。次年度は本介入プログラムを実施するため、所属機関および調査施設での研究倫理審査委員会の承認手続きを進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
今後は作成した軽度認知障害のワーキングメモリを活性化し実行機能を高める看護介入プログラムを実施し、その効果を検証していく。2024年度の研究計画は次の通りである。 研究対象者は、精神科医療施設へ通院中の軽度認知障害者50名程度である。選定基準として、医師から軽度認知障害と診断を受け治療開始後1年以上経過しMini Mental State Examination(MMSE)が20点以上の患者で、研究の説明を行い自由意思に基づいて本人の同意を得られた者を研究対象とする。研究調査施設は茨城県内の精神科病院を計画しており、調査期間は研究者の所属施設および調査施設の研究倫理審査委員会で本研究実施の承認後、2年間の期間であり調査は対象者数が集まり次第終了する。 調査およびプログラムの内容として、対象者の基本情報(診療情報から対象者の許可を得て属性や治療内容などを情報収集する)を収集し、介入プログラムを実施する。介入期間とプログラムの評価について、介入は集団で行い約8週間、週2~3回程度、1回60分のプログラムを実施する計画である。場所は精神科デイケアなどの施設を利用し、対象者の日常活動に支障を与えないように計画する。プログラムの評価は、実行機能評価としてBADS(遂行機能障害症候群の行動評価)、注意機能評価としてTMT(Trail Making TestT)、生活機能の評価として手段的ADL尺度などを用いて、介入前後、さらに介入1か月後、3か月後、6か月後における差異を統計学的に分析する。
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