研究課題/領域番号 |
23K10048
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58060:臨床看護学関連
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研究機関 | 聖路加国際大学 |
研究代表者 |
川原 佳代 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 助教 (20907670)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 心不全 / アドバンス・ケア・プランニング(ACP) / 意思決定 / ブックレット / 心不全ブックレット / セルフマネジメント |
研究開始時の研究の概要 |
心不全は、再入院率が高く予後予測が困難な特徴があることに加えて、患者は高齢者が多く併存疾患を複数抱えているなどの疾患特異性があり、治療やケアの選択について事前に話し合うことが求められている。実際は、医療者側の説明にかかる時間の確保や、患者とのコミュニケーション手段に乏しいという認識のために、患者やその家族と十分な対話を行う機会が少ないとされている。 本研究では、心不全患者の心理的特徴や疾患特異性を考慮し、既存のセルフマネジメント獲得を促す内容にアドバンス・ケア・プランニングの要素を含めた心不全ブックレットの試案を作成し、患者の不安や患者と医療者間の対話の質を検証することで実用可能性の一助を得る。
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研究実績の概要 |
本研究は、心不全患者の心不全早期の段階から、将来にどの様な治療やケアを受けたいかという話し合いを促進するブックレットを開発し、アドバンス・ケア・プランニングの概念を用いて対話をすすめ、患者と医療者間の対話の質および患者の不安を検証することを目的としている。 研究期間は、2023年度から2025年度の3年間を予定しており、2023年度は心不全の疾患特異性を取り入れたブックレットの試案、ならびにブックレット試案の試用手順書を開発し、内容妥当性の評価を予定していた。 これまでの予備調査より、心不全患者の治療や療養場所の選択のプロセスは、取捨択一のような形式で治療を能動的に選択するというよりは、その時々に最適な治療を受け入れるという選択をするプロセスであることが分かった。ブックレット試案、ならびにブックレット試案の試用手順書の開発準備を進めていく過程で、患者の日常生活や治療に対する価値観や意向について予備調査をもとに具体的に記すことを検討した。併せて、ブックレット試案の試用手順書は、患者の対話を引き出すよう、文献検討の結果とガイドラインを参照とし内容と構成を組み立てた。 研究対象者は、当初、心不全早期の段階である心不全リスク状態の患者も想定していた。しかしながら文献検討より、ステージA、Bの患者は、医療機関での継続的なフォローアップが少ないこと、患者自身も心不全を認識していないことが分かった。一方で、心不全患者のニーズとして、心不全の初回入院時や2回目の入院時の段階からアドバンス・ケア・プランニングへの介入の必要性が確認できた。そのため、対象者の選定については、心不全症状を自覚したステージCの患者のうち、心不全初回入院時または2回目の患者を対象とすることにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
予定していたブックレット試案、ならびにブックレット試案の試用手順書の開発に向けた文献検討、資料の収集と現状把握に時間を要したため、当初の計画より遅れている。ブックレット試案は、内容と構成を組み立てられているため開発をすすめる。また、ブックレット試案の試用手順書は、すでに公表されている既存のツールを参考にし、開発しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、心不全と診断されたステージCの患者のなかでも比較的早期の段階に、患者自身が将来の治療やケアについての意向や価値観をいったん整理し、その内容を患者と医療関係者が共有するプロセスを通して将来に対する患者の不安を検証、対話の質改善を目指しており、患者だけではなく、プロセスを共に進める医療関係者の協力も必須である。 次の段階として、ブックレット試案とブックレット試案の試用手順書を対象にした内容妥当性の評価を専門職によるヒアリング調査にて行う。その後、内容適切性の評価を予定しているが、心不全患者が医療機関にアクセスする場として、病院だけだはなく在宅で訪問診療やケアを受ける患者もいるため、場の検討を行うことが課題である。これらを実施した結果を基にブックレット試案とブックレット試案の試用手順書修正版を作成し、本調査を行う予定である。
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