研究課題/領域番号 |
23K10154
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58070:生涯発達看護学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
祖父江 育子 広島大学, 医系科学研究科(保), 教授 (80171396)
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研究分担者 |
岡田 賢 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (80457241)
三上 幸夫 広島大学, 病院(医), 教授 (80422129)
前田 慶明 広島大学, 医系科学研究科(保), 准教授 (10536783)
中村 マリ子 広島大学, 病院看護部, 看護師長 (40979308)
笹木 忍 広島大学, 病院看護部, 看護師 (90326306)
武澤 友弘 広島大学, 病院看護部, 副看護師長 (30979307)
土路生 明美 (東明美) 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 講師 (00347626)
本多 直子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 助教 (50746617)
加藤 豊 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 助教 (10983174)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 小児がん / 復学支援 / 機能低下 / 体力低下 |
研究開始時の研究の概要 |
小児がん児の体力低下・機能低下や骨折リスク遷延に対し、国内外ともに、復学校において合理的配慮に基づく支援が欠如している。訪問看護・リハビリテーション事業活用による、医療職者の継続的な復学校訪問支援は、小児がん児の教育機会への完全かつ効果的な参加、自身の可能性の最大限の発揮を導くために必要不可欠である。校外活動への医療職の同行支援は、法改正(訪問時間の緩和)を要するため、本研究はモデル事業実現のためのパイロットスタディを行う。
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研究実績の概要 |
2022年度調査「小児がん児の身体機能、体力低下に関する調査」を、第21回日本小児がん看護学会学術集会で発表した。 小児がん経験児とその家族は、復学において多様な意思決定に直面する。復学支援の基盤として、小児がん経験児の意思決定、たとえば患児や家族の告知の希望やその理由、告知後のケアの希望内容等は非常に重要である。そこで、本研究における準備として、小児がん経験児における告知と告知後のケアに関する希望についてレビューした。小児がん経験児は、「病気と闘うために自分のことを知りたい 」と、がんの告知を望み、親はこどもの心の平穏を優先し、告知をためらっていた。こどもと親はともに診断後の精神的サポートを望んでいた。 身体機能の低下や体力低下を抱えての復学校への適応において、病名・治療・現在の状況等について、どのように復学校の教職員や児童・生徒に開示するか、小児がん経験児の意思決定や戦略も大変重要である。そこで、小児がん経験児の意思決定を尊重した復学支援となるよう、がん経験者の自己開示についてレビューした。小児がん経験者が、がん情報開示の有益性を最適化するためには、心理的負担への対処、情報開示スキルの向上、家族の心理的支援、がんに対する社会的認知の促進が不可欠と明らかにした。 現在までの研究により、小児がん経験児が、復学校での学校生活において、身体機能の低下、体力低下による学習や活動の困難と制約にひとり辛苦し、告知や開示における主体性や意思決定についても、社会環境との相互作用のなかで困難や心痛を経験していることを明らかにした。これらの知見は、身体機能・体力低下を抱える小児がん経験児の復学支援計画の策定に寄与する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
教育機関は、小児がん経験児など、特別なニーズをもつ小児に対し、最も制約の少ない環境での合理的配慮の義務を負う。復学児への最適で効果的な学校復帰計画を策定するために、身体の制約など注意を要する要因の把握、必要なサービスの利用可能性と継続性の判断が必要である。 そこで、小児がん経験児への面接調査、「小児がん児の身体機能、体力低下に関する調査」を学会発表し(第21回日本小児がん看護学会学術集会、2023)、現在論文を作成中である。また、小児がん経験児とその家族の復学支援の基盤となる知識を整理するため、小児がん経験児の告知と告知後のケアに関する希望(Breaking bad news of cancer to children and their parents in Japan: A scoping review, Int J Nurs Clin Pract, 11: 387, 2024)と、がん経験者の自己開示についてレビューした(Factors associated with cancer disclosure in adolescent and young adult cancer survivors: An integrative review from the social-ecological model perspective, Eur J Oncol Nurs, 69, 2024)。 2レビュー作成とCOVID-19の5類移行に伴う実習等の教育業務増大のため遅延が生じているが、現在、小児がん経験児の健康関連QOLと自尊心に関する文献レビューを小児がん看護研究者が中心となって作成中であり、小児がん経験児の体力低下・機能低下に関する文献レビューを医師と理学療法士が中心となって作成中である。また、小児がん経験児の復学事例の集積調査を準備しており、遅延は解消されつつある。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度:体力低下、機能低下状態にある小児がん経験児の復学実態とニーズ、課題を明確にするために、小児がん経験児の復学事例を集積する。「中国・四国地区教育委員会のヒアリング調査」を、中国・四国9県、2政令指定都市、9中核市の教育委員会に実施し、復学児への対応と復学校への依頼内容、困難事例と今後の課題、医療職への支援ニーズを調査する。その結果を踏まえ、「小学校・中学校・高等学校における小児がん経験児の体力低下・機能低下に対する調査」を、中国・四国9県の教員に行い、小児がん経験児の復学に対する学校の潜在機能(施設整備状況や教職員の対応体制)、設備の新設や改修、教員の役割機能、支援の評価と課題、医療職への支援ニーズを調査する。 令和7年度:「小児がん経験児の体力低下に対する医療職者の継続的な復学校訪問支援」を行う。小児がん経験児が復学校において合理的配慮に基づく支援を得られるために、医療職が復学校を訪問し、①復学児の体力低下・機能低下に対応した安全な施設整備への助言、②施設(エレベーター未設置等)に対応した復学児への支援、③学校行事(遠足等)への支援、④復学児の成長・発達や体力回復・機能回復への支援、⑤教職員や他の学童・生徒への助言と教育を行う。令和7年度に復学する小学校・中学校・高等学校の小児がん経験児5-6名に、訪問看護施設等の医療職(看護師・理学療法士等)が、主治医の「訪問看護指示書」「訪問リハビリテーション指示書」に基づき、健康支援計画を立案し、復学児への復学校訪問支援を行う。訪問支援の経時評価を、学校生活における支援内容、復学児のADL、QOL、レジリエンス、安心と満足等で行う。また、復学校の教職員、教育委員会、復学校訪問支援に携わった医療職による訪問支援評価を行う。評価は研究の独創性を踏まえ、探索的・包括的に進め、支援計画策定に対する参加者と研究者の合意形成をめざす。
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