研究課題/領域番号 |
23K10165
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58070:生涯発達看護学関連
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
大岡 美奈子 東邦大学, 医学部, 助教 (70824069)
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研究分担者 |
根本 隆洋 東邦大学, 医学部, 教授 (20296693)
濱崎 祐子 東邦大学, 医学部, 教授 (50317799)
小坂 志保 東邦大学, 看護学部, 准教授 (60634665)
舩渡川 智之 東邦大学, 医学部, 講師 (20445357)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 小児 / 思春期 / 腎移植 / 自己管理行動 / メンタルヘルス / 移行期 / QOL / リエゾン |
研究開始時の研究の概要 |
移植医療の進歩に伴い、小児腎移植者の長期生存が期待できるようになった。移植腎を長期間維持していくためには日常的な自己管理行動が重要である。成人では抑うつが自己管理行動低下の危険因子とされているが、小児腎移植でのメンタルヘルスと自己管理行動の関係は不明である。小児では成長に伴い自己管理の主体が親から本人へ移行する点が成人と異なり、小児に特化した研究が必要である。本研究は本人と親を対象に「オンラインみまもり+(プラス)アンケート」を行い、術前に親が評価したChild Behavior Checklistを要因とし、小児腎移植者用に開発した自己管理行動尺度をアウトカムとして因果関係を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究では、小児期に腎移植を経験し現在思春期にある患者とその養育者を対象に移植後の自己管理行動とメンタルヘルスについてオンライン・アンケートをする。思春期に怠りがちな自己管理行動の向上に寄与するメンタルヘルス要因を検討し支援を構築することが目的である。 本年度は①小児腎移植者の自己管理行動尺度の開発、②研究用ホームページ(以下、HP)の開発と尺度の搭載、③研究対象者へのオンライン・アンケートの実施の3点を成果として報告する。 ①小児腎移植者の自己管理行動尺度の開発: 研究分担者の濱崎らと共同で小児腎移植者向けの自己管理行動尺度を開発した。開発には研究者以外に当院小児腎センター医師3名、レシピエント移植コーディネーター3名、小児臓器移植医療研究者1名が開発チームに加わり、全28問の尺度を作成した。小児腎移植者の自己管理の危うさが問題となる中、小児の腎移植術が本邦最多である当センターで小児腎移植者の自己管理行動尺度を開発した意義は大きい。 ②研究用HPの開発と尺度の搭載:はじめに本研究の啓蒙やリクルートを統合的に行うHP(https://mimamori-plus.jp/)を開発した。HPには①で作成した尺度(トップ右上>管理者ログイン>パスワード:mimamori)を搭載した。研究代表者は研究対象者とビデオチャットで接続しながらこのHPに搭載された尺度を提示し、説明を加えつつオンライン・アンケートを行っている。オンラインシステムの導入により遠方に在住し、来院の機会が少ない研究対象者でも研究参加を促すことが容易となり、研究対象者の移動の負担をなくすことも可能となった。 ③研究対象者へのオンライン・アンケートの実施:①②が成果が奏功し、2024年4月現在で勧誘した34組の患者とその養育者のうち33組が研究参加に同意した(参加同意率97%)。このうち参加済は28組、日程調整中は5組である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の進捗状況は概ね当初の計画通りである。①小児用の自己管理行動尺度の開発は、多職種専門職での活発な意見交換が行われ、合意のもとで開発できた。ミーティングは合計4回行われ予定期間内に完成した。②研究用HPと尺度のデジタル化は外部システムエンジニアに技術的サポートを依頼して開発した。HPで使用するイラストはイラストレーターに依頼した。いずれも予算内で開発・作成でき、期間も予定通りであった。③研究対象者へのオンライン・アンケートは2024年2月から開始した。2023年度中は10組程度のエントリーが目標であったが、予想よりも参加希望者が順調に集まり、既に28組(56名)のオンライン・アンケートが終了している。オンラインで行うアンケート手法は複数のIT技術を要した。研究の説明、同意フォームの取得、オンライン・アンケート、謝礼の支払いのすべてをオンラインで行った。面談中に音声が途切れたり、カメラが一時的に映らなくなる等のトラブルはあったものの、それぞれに対する対処法を事前に準備していたため技術面のトラブルでアンケートが行えなかったケースはなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の2024年度の推進方策としては、①リクルート方法の変更、②6月と12月の学会発表、の2点がある。 ①リクルート方法の変更:本年度のリクルートは極めてうまくいったものの、本研究課題をさらに推進するためには、方法を変更する必要があると考えている。理由は対象となる患者が遠方に在住しているためである。2023年度に勧誘した研究対象者は主に当院小児腎センターの外来に通院している者であり、研究分担者である濱崎が直接対面で勧誘した。一方、2024年度に勧誘を予定している研究対象者は遠方に在住しており、日常診療で顔を合わせていない者が大半である。研究を開始した当初は遠方の研究対象者には研究説明書を郵送し、参加希望者はQRコードからGoogleフォームにアクセスして参加申込をする流れを予定していた。しかし本年度のリクルートにおける研究対象者の反応から、説明書を郵送するのみでは研究対象者が自発的にGoogleフォームにアクセスする確率は低いことが予想された。このため、移植時やその後の定期入院時に研究対象と信頼関係を築いている研究分担者が先に研究対象者に電話で研究の大まかな説明をし、研究説明書の郵送の承諾を得た上で郵送することとした。 ②6月と12月の学会発表:本研究課題の推進方策の一貫として現時点での成果を2024年6月9日に第69回日本透析医学会学術集会・総会にて発表する。まだ研究対象者は募集中であるため6月の発表では主にオンラインを使った研究方法についての報告を行う予定である。また2024年12月には研究分担者である濱崎祐子が大会長を務める第45回日本小児腎不全学会学術集会がある。この時期には予定研究対象者数に達している予定であるため、結果を踏まえた成果を発表する予定である。これらの学会で受けるフィードバックをもとに2025年度中にジャーナル論文投稿を計画している。
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