研究課題/領域番号 |
23K10171
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58070:生涯発達看護学関連
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研究機関 | 大手前大学 |
研究代表者 |
鈴井 江三子 大手前大学, 国際看護学研究科, 教授 (20289218)
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研究分担者 |
野口 千里 大手前大学, 現代社会学部, 非常勤講師 (00905119)
望月 明見 大手前大学, 国際看護学部, 准教授 (30289805)
西村 直子 大手前大学, 国際看護学部, 教授 (30548714)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 女子受刑者 / 助産師 / 子育て支援 / 養育能力 / 乳幼児 / Three R' 理論 / 女区担当刑務官 / メンタルヘルス / 援助能力 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、全国11カ所の矯正施設に勤務する助産師を対象に、女子受刑者の理解や子育て相談の体制、相談方法と子育て相談上の課題、及びトラウマケアの取り組みや工夫について明らかにする。特に、愛着形成が重要な幼児期の子どもを持つ女子受刑者に対する子育て指導はどういった工夫がされているのかについても調査を行う。加えて、刑務官のトラウマケアの理解や対応方法も明らかにする。そして、女子受刑者の収容期間内に、より効果的な子育て支援やトラウマケアを提供する方法について、助産師が理解して実施することは、女子受刑者を支援する助産師の援助能力向上を図ると共に、児童虐待の負の連鎖を断ち再犯抑止に寄与すると考える。
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研究実績の概要 |
2023年度は、主に3つの調査と、これまでの子どもをもつ女子受刑者を対象とした研究成果や、女区担当刑務官と一緒に海外での刑務所研修を行った成果等をまとめた「女子受刑者の社会復帰支援に向けた英国の取り組み」に関するマニュアルを作成し、全国の主要な矯正施設に配布した。 実施した3つの調査は、全国11カ所の女子受刑者への子育て支援を行っている助産師を対象とした聞き取り調査であり、研究協力の得られた助産師10名の聞き取りを行った。そして、女区における子育て支援の実施状況と施設の特徴による支援継続に向けた限界および課題について明らかにした。また、被害児童としての経験をもつ女子受刑者の養育能力についても支援に向けた課題が抽出された。 二つ目は女区担当刑務官30名を対象とした聞き取り調査であり、精神疾患やメンタルヘルスの課題が多い女子受刑者を対象に、社会復帰に向けた支援や処遇を実施する際の、困難感や葛藤、または課題等について明らかにした。 3つ目は乳幼児をもつ女子受刑者2名を対象にした、Three R' 理論を用いて乳幼児の反応に対する認識や養育能力についての継続的な面接と聞き取り調査を行った。 上記3つの調査は、我が国においては先行研究の報告は皆無に等しく、精神疾患や綿断つヘルスの課題が多い女子受刑者を対象に、子育て支援や社会復帰に向けた関わりを検討するうえで重要な示唆を得る調査結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた研究計画に沿って、全国の女子刑務所11カ所において子育て支援を行っている助産師を対象に実態と課題に関する聞き取り調査を実施した。また、女区担当刑務官30名を対象にした女子受刑者のメンタルヘルスに関する聞き取り調査も実施した。加えて、乳幼児の子どもをもつ女子受刑者を対象に、Three R' 理論を用いて面談を行い、子ども反応の認識等に関する調査も実施した。 よって、当初の計画どうり、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、2023年度に実施した3つの調査結果の分析と研究成果の報告を行う。つまり、女子受刑者への子育て支援を行っている助産師10名と、女区担当刑務官30名の計40名分の全データを対象にテープ起こしを行う。次いで、それらのデータを基に質的帰納的分析を行うための分析基礎表を作成する。そして、分析基礎表を基にサブカテゴリ―からカテゴリーへと分析を進め、研究結果を明らかにし、学会発表および論文として公表する。また、乳幼児をもつ女子受刑者を対象にThree R' 理論を用いて実施した調査についても同様に研究成果として公表を行う。 さらに、18歳未満の子どもをもつ女子受刑者と、乳幼児をもつ女子受刑者にはThree R' 理論を用いて、入所期間内で行える継続的な子育てに関する指導を行い、子どもの養育能力向上を促す取り組みも行う。 加えて、研究協力者である女区担当刑務官1名と一緒に、女子受刑者への社会復帰支援に向けた取り組みが充実し、個別対応を重視した処遇を行っているアデレード女子刑務所において、処遇の個別性や社会復帰に向けたコミュニケーションの取り方について具体的な方策を研修し、処遇改善に向けた一資料とする。 この他、全国の女子受刑者支援が行えるように、助産師による子育て支援マニュアルを作成予定であり、作成に際しては聞き取り調査に参加した助産師10名を対象に、本学において検討会議を開催し、同マニュアルを完成する予定です。
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