研究課題/領域番号 |
23K10233
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
小野寺 悦子 宮城大学, 看護学群, 助教 (70881209)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 移住 / 被災高齢者 / 生活支援 / ソーシャル・キャピタル / レジリエンス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、東日本大震災後に住み慣れた故郷を離れることを余儀なくされた被災高齢者と移住先で支援者となった住民等を対象として、生活再建・適応プロセスを整理し、「レジリエンス」と「ソーシャル・キャピタルの構築」の関連、さらに、ソーシャル・キャピタルの構築を促進した要因を明らかにするものである。このことにより、今後、高い確率で起こりえる移住を伴う広域的大規模災害において、災害弱者とされる高齢者の生活再建支援に役立たせることができる。
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研究実績の概要 |
2023年度では、研究枠組みを構築するため、高齢者の移住(転居)と自然災害による移住(転居)に関する先行研究のレビューをおこなった。結果、移住(転居)が高齢者の精神面(抑うつ・孤立感・認知機能・PTSD)に影響を与え、地域社会からの孤立を招くリスクがあること、社会参加や社会資源とのつながりにより精神的健康の悪化を予防する可能性があること、さらに、本人の移住(転居)意思や準備状態がその後の適応と関連していることが明らかにされていた。しかし、国内の研究において被災自治体外に移住した被災高齢者を対象とし、生活適応のプロセスや具体的な生活支援に関する研究は少なく、また、国外の研究において「レジリエンス」「ソーシャルキャピタル」「移転」をキーワードとした研究が増えているが長期的な視点での研究は少ないことが明らかになった。 次に、移住した被災高齢者に対する生活支援のGP事例として、東日本大震災後より現在に至るまで、継続的に生活支援をおこなっている自治体社会福祉協議会に所属する支援者3名からの情報収集を行い、調査の準備を行った。この事例では、震災直後から避難所支援や災害ボランティアセンターの運営を担うことで広域避難している被災者の課題を早期から把握し、主体的に移住した被災高齢者に対する支援を行ってきたことがわかった。 これらの文献検討やGP事例の聞き取り調査をもとに、移住先において自治体社会福祉協議会の支援者から受けた具体的な生活支援の内容が、ソーシャルキャピタルの構築とレジリエンスの関連に影響を与えていると考え、支援者を対象とした調査について研究倫理審査の承認を得て、インタビュー調査を開始している。1自治体社会福祉協議会の支援者3名のインタビューを終了しており、今後インタビュー調査をさらに進めながら分析を継続していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自治体社会福祉協議会に所属する支援者を対象としたインタビュー調査を開始し継続している。インタビュー調査を終了した支援者より、他の自治体社会福祉協議会の紹介を受け、研究参加候補者に研究参加依頼をおこなっている。また、今後、移住した被災高齢者に対するインタビュー調査を予定しており、支援者から紹介に関して内諾を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
現段階で、本研究の課題や研究の方向性について大きな変更はない。しかし、移住先の住民の代表者(区長や民生委員)も支援者としてインタビューを検討していたが、GP事例の聞き取り調査により、震災より13年が経過し、移住先の住民の代表者の多くは加齢によりすでに、区長等の役職を引退しており、インタビュー調査の実施は困難であることがわかった。 このことにより、今後は、自治体社会福祉協議会の支援者と移住した被災高齢者を対象としたインタビュー結果を分析、その結果をあわせ、移住先でのソーシャルキャピタルの構築と促進する支援とレジリエンスの関連を明らかにし、生活支援の体系化を試みる。
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