研究課題/領域番号 |
23K10340
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
須藤 紀子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (40280755)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | COVID-19 / 宿泊療養 / 保健所設置自治体 / 食事 / 弁当 / 感染症 / 療養者 / 食事支援 / 栄養 / シミュレーター |
研究開始時の研究の概要 |
新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)を含む様々な感染性疾患のパンデミックにより、自宅もしくは宿泊療養を余儀なくされた住民に対し、栄養に配慮した食料支援パッケージの配送や食事提供ができるように、行政栄養士以外の自治体職員でも簡単に栄養バランスのとれた食品の詰め合わせやメニュー選択が可能となる食事支援シミュレーター(エクセルシート)を開発する。
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研究実績の概要 |
感染症の重症化予防のために栄養管理は不可欠であるが、COVID-19の宿泊療養者に提供された食事は、その不適切さが報道された。また、近年は様々な要因により感染症パンデミックの可能性が高まっており、今後の健康危機に備えて、感染者への食支援体制を構築しておくことが望まれる。そこで、今回の経験を次のパンデミックに活かすべく、第7波期間中(2022年7月6日~2022年8月30日)の宿泊療養者に対する食事提供の実態を明らかにすることを目的とした。 47都道府県、87の保健所設置市と23特別区の衛生主管部(局)を対象に質問紙による全数調査を実施し、食事の調達から提供までの準備、提供された食事の内容、災害時対応の活用の活用について調べ、88自治体から回答を得た(回収率=56.1%)。宿泊療養を実施していたのは、回答を得られた全ての都道府県(n=32、100%)と一部の政令指定都市(n=2、16.7%)のみであった。回答者は事務職が91.2%を占め、行政栄養士が献立作成に関与していた自治体は4自治体のみであった。1日の食事の予算は「2,501円~3,000円」が30.3%と最も多く、食事は宿泊療養施設(56.3%)や既知の提供事業者(43.8%)等から調達していた。療養者の要望や体調等に応じて「うどんやおかゆ等の療養食」、「ゼリー類・栄養補助食品」を提供するなど、柔軟な対応を行っていた自治体もみられた。食事の内容に対して寄せられた意見は、「揚げ物が多く脂っこい」(88.5%)、「味が濃い」(57.7%)などが多かったが、予算との関連はみられなかった。栄養バランスの改善には「全国の好事例の共有」が必要だと思うとの回答が最も多く、46.9%を占めた。食事提供に関わる災害時支援協定や災害用備蓄を利用した自治体は、それぞれ9.1%(n=2, n=3)と非常に少なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目(令和5(2023)年度)は「自宅・宿泊療養者に対する栄養支援の振り返り」として、全国の保健所設置自治体を対象に、自宅療養者に配送した食料支援パッケージの内容と宿泊療養者に提供した食事の内容を質問紙調査により把握し、食料支援パッケージや提供食に栄養学的配慮がなされていた自治体の特徴を明らかにする計画であったが、予定通り、郵送調査を実施できた。さらに、市町村が独自で支援を行った事例もみられたことから、一般市町村にも追加で質問紙調査を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2年目:1年目の質問紙調査及び弁当を提供した業者への聞き取りから、支援によく使用されていた食品や料理を抽出し、シミュレーターに搭載する食品リストを完成させる。 3年目:日本人が1日に摂取すべき栄養素等の量を示した「日本人の食事摂取基準」は、厚生労働省により5年毎に改定されている。2025年版は令和7(2025)年2~3月に公表されるため、最新の値を反映させたシミュレーターを開発する。 4年目:都道府県及び保健所設置市の職員(事務職員、保健師、管理栄養士)にシミュレーターを試用してもらい、その後のインタビューにより、改善点を明らかにしたうえで、改良を行う。最終年度であるため、質問紙調査と聞き取り調査の結果をオープンアクセスの英文論文2本にまとめる。
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