研究課題/領域番号 |
23K10399
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
上村 智子 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (80280204)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | せん妄 / 予防 / 認知障害 / 大腿骨骨折 / 心不全 / フレイル / 認知症 / 急性期リハビリテーション |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者の入院前のADL・認知症・フレイルを評価し,退院移行支援を強化することで,せん妄やフレイルを予防・軽減して安全で自律的なADL獲得を目指す急性期リハビリテーションモデルを開発し,その有用性を検証して提案する. 開発するプログラムは,患者の入院前の状態から,せん妄・フレイル対策への個別的介入の必要度を判断し,認知機能を賦活する環境整備,ADL支援,不活動の予防,情緒的支援といった多因子で介入し,プログラムの継続性を担保する情報を退院・転院先に提供するものである.
|
研究実績の概要 |
高齢患者のための急性期せん妄予防プログラムの開発に向けて,初年度は,異なる2種類の疾患を対象に研究を行った. 1つは,大腿骨骨折の術後患者が対象である.モーニングケアを含むADL練習と集団交流を午前中に提供する作業療法によって,せん妄の誘発因子である①睡眠覚醒リズムの乱れや,②心身の不活動や,③社会的交流の制限を制御するプログラムを開発し,その有用性検証につなげるフィージビリティ研究をRCTで実施した.また,プログラムの標的集団を明らかにする目的で,同疾患の術後せん妄発症に影響する患者の素因を調べる観察研究を行った.結果として,367名のデータ解析から,せん妄発症の有意な予測因子として,患者の骨折前の軽度・中等度・重度の認知障害だけが抽出され,本プログラムの標的集団が,認知障害のある高齢者であり,障害が軽度であっても標的になることを確認した. 2つ目は,心不全の入院患者が対象である.せん妄発症の生理学基盤の違いが開発するプログラムに影響するかを調べる目的で,本疾患を取り上げた.そして,本疾患に特異的なせん妄予防に重要な治療・ケアの要素と,それを提供する上での難しさを明らかにする目的で,熟練医療職にインタビューし,収集したデータの再帰的主題分析を行った.結果として,上記①②③のプログラムで制御すべき対象は,大腿骨骨折患者と同様であるが,対応方法の違う部分,例えば,心身の不活動状態の最適化を図るために必要な負荷量の設定を患者個別に行う必要があり,医療職としては提供の難しさを感じていることが明らかになった.したがって,開発するプログラムは,疾患ごとに調整すべき点があることを確認した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開発するプログラムを実用性の高いものにするため,臨床現場との協議を重ねた結果,当初予定していたプログラム内容や検証方法に若干の変更を加えることになったが,フィージビリティ研究は完了することができたため.
|
今後の研究の推進方策 |
初年度に実施したフィージビリティ研究の成果を反映して,高齢大腿骨骨折患者を対象とする,せん妄予防プログラムの開発を進める.今後は,入院中のプログラムをより有効で実用性の高いものに改良することに加えて,入院前の情報収集方法および退院移行支援について洗練させる.その後,開発したプログラムの有用性を検証する.また,本プログラムを基本に,心不全入院患者など,他疾患の患者を対象とした場合のプログラムの汎用性についても検討する.
|