研究課題/領域番号 |
23K10406
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
中村 高仁 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (70847962)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 脳卒中 / 同名半盲 / 視線 / サッケード / 歩行 / 眼球運動 / 半盲 |
研究開始時の研究の概要 |
脳損傷者の転倒を防ぐには、足の運びだけでなく視覚を用いた事前の調整が重要である。 同名半盲者(障がい側視野欠損)の場合、見えにくい障がい側視野を非障がい側から補うため、代償的な移動時視線行動(過度な頭部回旋)を用いる。しかし、この代償戦略を用いても障害物の見落としが生じ、歩行自立に至らない場合、視線行動パターン自体の改善が必要となる。 本研究では、同名半盲者の視野改善に有効とされるサッカード機能(細かな眼球運動)に着目する。アイトラッカーを用いた視線行動の定量的機能評価とそれに基づく眼球運動訓練を開発し、視線行動の変化から慢性期脳損傷者の移動能力を改善し得るか検証する。
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研究実績の概要 |
脳損傷者の転倒を防ぐには、足の運びだけでなく視覚を用いた事前の動作調整が重要である。しかし、同名半盲(障がい側視野欠損)者の場合、障害側の見落としが生じやすいことから事前の調整が容易ではなく転倒に繋がりやすい。視野欠損を補うためには半盲側へのサッケード機能(視標を捉えるための急速な眼球運動)が重要となるが、同名半盲者の視線行動に関する定量的評価は未だ十分とはいえない。さらに、慢性期という、一般的には症状が改善しないと言われる時期において、同名半盲者の視線行動が変化し、移動能力改善に貢献し得るかについては十分検証が行われていない。 R5年度はABAB法によるシングルケーススタディから、慢性期同名半盲者(発症後2年経過)の視線行動と自主的練習による機能変化を検証した。各期間はそれぞれ2週間とし、期間前後で評価課題(歩行・机上課題)を実施した。自主的練習は、視標に対する左右・上下眼球運動練習と頭部回旋運動とした。結果、開始時と比しB2期後で歩行課題(半盲側下への注視試行数増加、左右眼球移動速度)、机上課題(上下左右注視移動速度)の改善を認めた。 以上より、同名半盲者の移動時視線行動やサッケード機能は慢性期においても改善する可能性が示唆された。今後、自主的練習内容や方法を改善し、より効果的な手法を検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた移動データ計測について、研究協力機関の環境や予定していた機器精度が十分でないことから難渋したため、R5年度は視線データから移動時の様子を評価し得る手法に変更した。代替案については、現在予備検討を終了しており、R6年度の測定に実装していく予定である。 また、慢性期同名半盲者の視線行動に関する定量的評価法確立は一定の成果を得ることができた。さらに、慢性期においても機能変化し得ることを確認できたことは本研究課題達成のための重要な資料を取得できたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
移動データの獲得とともに現状取得したデータをさらに検証し、定量的評価の充実を図る。そして、有効な眼球運動練習課題の開発に努めていく。
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