研究課題/領域番号 |
23K10423
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
高橋 郁文 金沢大学, 附属病院, 理学療法士 (30743835)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 関節軟骨 / 廃用性萎縮 / 理学療法 / 変形性関節症 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、ラットにおいて非荷重によって関節軟骨に廃用性萎縮が生じ、関節軟骨が薄くなることが明らかになった。この関節軟骨の廃用性萎縮は再荷重によって回復する一方で、変形性関節症(OA)の早期発症と重症化につながる。そのため、関節軟骨の廃用性萎縮を回復させることができれば、OAの進行抑制や患者の減少に貢献できる。しかし、萎縮した軟骨の回復メカニズムや理学療法による治療効果は不明である。以上より、本研究の目的は関節軟骨における廃用性萎縮の回復メカニズム、そして理学療法による治療効果を明らかにすることである。方法としては、ラットを用いて組織学的および免疫組織化学的に調べる。
|
研究実績の概要 |
変形性関節症(OA)の早期診断と早期治療は重要である。しかし、これらの段階で生じる細胞および軟骨の組織学的変化は、依然として不明である。この事実に基づき、今年度の研究として、我々は、外傷モデルラットを用いて、変形性関節症(以下OA)の前段階と早期段階における組織学的および免疫組織化学的な経時的変化を検討した。 対象として36匹の雄ラットを、内側半月板の不安定化によるOA群と対照群の2群に分けた。術後1、3、7、10、14日目に関節軟骨の組織学的および免疫組織化学的分析を行った。具体的には組織学的にOARSIスコア、軟骨細胞密度、軟骨厚、基質染色性を評価した。免疫組織化学的分析では、Gremlin-1, HYBID, PRG4, MMP13, ADAMTS5に対する染色を行った。 その結果、軟骨分解に関連するタンパク質の陽性細胞密度は術後1日目から増加した。術後3日目には、軟骨細胞死、表層の線維化などの組織学的変化が観察された。同時に、基質染色性の代償的増加が観察された。変形性関節症学会国際スコアは術後7日目から有意に増加し、軟骨の菲薄化を認めた。術後10日目には、軟骨分解に関連するタンパク質の陽性細胞密度は減少したが、組織学的変化は亀裂と基質の消失を消失を伴って進行した。プロテオグリカン4陽性細胞密度は術後7日目に増加した。 結論として、本研究は、外傷性OAモデルラットの関節軟骨における術後早期の組織学的および免疫組織化学的変化を明らかにした。これにより、Gremlin-1、HYBID、PRG4陽性細胞の分布が明らかになり、経時的な組織学的質的・量的変化の関連性が強調された。これらの知見は、実験モデルの確立と、げっ歯類外傷モデルにおけるOA前段階および早期段階のメカニズムと進行の理解に貢献するものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通り、関節軟骨の廃用性萎縮に関連する変形性関節症の早期における組織学的変化について解析が終了した。その結果は国際学会で発表予定であり、さらに国際誌へ論文投稿中である。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度において、関節軟骨の廃用性萎縮に関連する変形性関節症の早期における組織学的変化について解析を行った。来年度以降は、関節軟骨の廃用性萎縮の発症および進行メカニズムを明らかにしたのち、積極的な運動療法の回復促進効果を明らかにしていく予定である。したがって、関節軟骨の廃用性萎縮に関する研究は、学術的・臨床的に有益な知見が得られる可能性が高い。したがって、当初の研究計画通り、これまでの研究基盤の上に、今年度の研究をさらに推進させる。
|