研究課題/領域番号 |
23K10429
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
紀 瑞成 大分大学, 福祉健康科学部, 准教授 (60305034)
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研究分担者 |
河上 敬介 大分大学, 福祉健康科学部, 教授 (60195047)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 骨格筋老化(サルコペニア) / リンパ管内皮細胞 / リンパ管新生 / 内皮細胞増殖因子(VEGF-C/-D) / 免疫組織化学 / 加齢骨格筋 / 分子生物学 |
研究開始時の研究の概要 |
サルコペニアの予防のための運動療法は、健康寿命延伸の達成に重要な課題である。これによる筋機能低下は、一般に筋線維の萎縮や筋線維数の減少に起因すると考えられている。しかし、最適な運動療法の量や期間、頻度等は不明なままで経験則に頼るしかない。一方リンパ管系は炎症関連因子の制御や間質液の回収を担い、筋損傷などの回復に重要な役割を担っている。よってリンパ管系は、サルコペニアの筋機能低下に対する運動療法にも、重要な役割を担う可能性があるが、誰も手を付けていない。そこで本研究の目的は、これら未開な疑問を網羅的に解明し、筋内リンパ管系の機能に着目した新たな筋機能低下予防の運動療法を開発することである。
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研究実績の概要 |
骨格筋老化(サルコペニア)の予防のための運動療法は、健康寿命延伸の達成に重要な課題である。近年、老化による筋細胞内の崩壊ミトコンドリア、オートファゴゾームのクリアランスの低下が筋機能を低下させること、これらの現象が運動により改善することを示唆する報告が現れた。一方リンパ管系は、炎症関連因子の制御や不要な分子を含む過剰な細胞間質液のクリアランスを担い、皮膚・関節損傷などの回復に重要な役割を担っている。よってリンパ管系は、サルコペニアの筋機能低下に対する運動療法にも、重要な役割を担う可能性があるが、誰も手を付けていない。そもそも、サルコペニアに伴う骨格筋の変化と筋内リンパ管系の変化との関係や、そのメカニズムも不明である。そこで本研究の目的は、我々の研究グループはこれら未開な疑問を網羅的に解明し、筋内リンパ管系の機能に着目した新たな筋機能低下予防の運動療法を開発することである。当該年度では、高齢(22~24カ月齢)マウスのヒラメ筋(遅筋)と足底筋(速筋)等の一般的な組織学的観察に加え、リンパ管の特異的マーカーLYVE-1を用いた免疫組織学的観察により、リンパ管の大きさ及び密度などの検証を行った。また、リンパ管新生の指標としてVEGF-C/-D、炎症性サイトカインTNF-αなどのターゲット遺伝子をリアルタイムPCRに解析するため筋組織を採取した。その結果、老化骨格筋には、筋腹横断面積、単位面積あたりのリンパ管数や面積は遅筋と速筋の間に違いがある傾向が見られた。若齢マウスと比べて、高齢マウスの足底筋では、筋腹横断面積が低下し、リンパ管密度が高い傾向があった。なお、持続的な慢性炎症による骨格筋組織の老化に関わるメカニズムの解明に、リンパ管内皮細胞増殖因子や炎症性サイトカイン等のmRNAの発現による評価は不可欠である。よって、採取したサンプルは次年度速やかに本評価のため用いる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の目標はサルコペニア筋に対する筋内リンパ管系の役割を検証することである。そのために、若齢(12~15週齢)と高齢(22~24カ月齢)C57BL/6マウスから採取したヒラメ筋(遅筋)と足底筋(速筋)等を用いて、一般的な組織学的観察に加え、LYVE-1やCD 31などを用いた免疫組織学的検証により、サルコペニアに伴う筋組織リンパ管や毛細血管の分布や数、構造などの変化を検証した。また、リンパ管内皮細胞増殖因子(VEGF-C/-D)、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β、IL-6)などを評価するためのサンプルも採取できた。以上、本課題はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、持続的な慢性炎症による骨格筋組織の老化に関わるメカニズムの解明に、リンパ管内皮細胞増殖因子や炎症性サイトカイン等のmRNAの発現による評価は不可欠である。よって、前年度採取したサンプルを速やかに本評価に用いる。特に、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β、IL-6)、筋肥大抑制遺伝子(Myostatin)等のmRNA発現量の測定を行う。また、リンパ管新生の指標として、特にVEGF-C/VEGFR-3系の活性制御も検証する。更に、サルコペニア筋に対する、10週間の自発運動による筋内リンパ管の形態応答に及ぼす影響とそのメカニズムを検証する。その評価には、リンパ管の大きさ、密度に加え、リンパ管内皮細胞の特異的マーカーとして重要なLYVE-1、Prox-1、Podoplaninを用いる。
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