研究課題/領域番号 |
23K10445
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 熊本保健科学大学 |
研究代表者 |
土井 篤 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (60619675)
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研究分担者 |
田中 貴士 熊本保健科学大学, 保健科学部, 講師 (30734694)
申 敏哲 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (70596452)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 半側空間無視 / 右大脳皮質傷害 / リハビリテーション / Unilateral neglect / model animal / Therapeutic intervention |
研究開始時の研究の概要 |
半側空間無視(USN)は、脳卒中患者に見られる麻痺側視野を認知できない高次脳機能障害である。USNに対する唯一の介入刺激としてのリハビリの臨床効果は既に報告されているが、その効果が中枢神経系に与える影響は不明であり、感覚刺激とともに代表的なリハビリとされる運動療法の効果も明らかではない。他方、USN様症状を呈するモデル動物を用いたリハビリの効果検証は未だなされていない。本研究の目的は、右大脳皮質を外科的処理し、左側へのUSN様症状を確認したモデル動物を用いて歩行運動の効果を行動学的に、神経細胞やグリア細胞の形態変化、タンパク変化などについて網羅的に解析することである。
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研究実績の概要 |
1.麻酔下及び覚醒下マウスに対する腰部磁気刺激による運動誘発電位と経頭蓋磁気刺激による運動誘発電位測定方法の確立 定量的運動機能評価としての運動誘発電位の測定方法は、ヒト臨床において用いられている。しかしながら、げっ歯類、とりわけ覚醒下のマウスを用いた先行研究から、未だ確立された方法とは言えない。今回、我々は麻酔下での腰部磁気刺激による運動誘発電位記録法の確立を通して、覚醒下での腰部磁気刺激での運動誘発電位、また覚醒下での経頭蓋磁気刺激による運動誘発電位測定を確立する手前の状況まで来ていると考えている。
2.病巣と半側空間無視様行動を結びつける神経科学や介入効果を検討するリハビリテーション研究への寄与 右頭頂連合野と右前頭葉を物理的に傷害したマウスは野生型マウスに比し、右側を選択する割合が高いことをY-字迷路試験を用いて確認した。つまり、その事は右頭頂連合野及び右補足運動野が半側空間無視に関係している可能性を示すものである。さらに、Y-字迷路試験において、マウスに用いるマウス用のY-字迷路試験よりも、本来ラットに用いるラット用のY-字迷路試験の方が顕著に右側を選択する割合が高かった。現在、それらの動物に対して6週間のトレッドミル歩行の効果を解析している。また、右頭頂連合野のみを傷害したマウスを用いて、半側無視様行動との関係を検討している。それら頭頂連合野のみの傷害と頭頂連合野と補足運動野の両方を傷害したマウスの行動を比較することにより右頭頂連合野の機能、あるいは補足運動野の機能差異を見出すことができるかもしれない。さらにこれらの傷害によって半側無視様行動を示すモデルマウスを用いたリハビリテーション領域の研究に進める可能性を秘めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の2点において、ほぼ目標通りに進展したと考えている。 1.右大脳皮質傷害モデルに対する経頭蓋磁気刺激による運動誘発電位測定方法と感覚評価としての感覚閾値の評価 定量的運動機能評価としての運動誘発電位の測定方法は、ヒト臨床において用いられているが、げっ歯類、とりわけ覚醒下のマウスを用いた先行研究から、未だ確立された方法とは言えない。それを今回、麻酔下における腰部磁気刺激での経験を元に、覚醒下における経頭蓋磁気刺激による運動誘発電位を確立する手前の状況まで来ていると考えている。また、感覚閾値に関してもマウスの固定方法、逃避反射による反応に素早く対応する感覚閾値システムの確立がなされたと考えているためである。 2.病巣と半側無視様行動に対する介入効果を検討するリハビリ研究 右頭頂連合野と右前頭葉を物理的に傷害したマウスは野生型マウスに比し、右側を選択する割合が高かった。つまり、その事は右頭頂連合野及び右補足運動野が半側無視様行動に関係している可能性があることを示すものである。これらの傷害を有するマウスが半側無視様行動を示すモデルマウスとして、今後、介入効果を検討するリハビリテーション領域の研究に進める一歩となったためである。
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今後の研究の推進方策 |
右の頭頂連合野と補足運動野の両側傷害により右側を選択する割合が高いことは分かった。今後は右頭頂連合野のみの傷害と半側空間無視との関係、右側傷害と左側傷害と半側空間無視との差、動物に対する介入方法も決して多くある訳では無いが、運動療法、物理療法等を検討していく予定である。
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