研究課題/領域番号 |
23K10447
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部) |
研究代表者 |
林 哲生 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部), 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部), 研究員(移行) (00769680)
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研究分担者 |
藤原 勇一 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部), 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部), その他 (30748083)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2027年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 低栄養 / 脊髄損傷 / 肺炎 / 麻痺 / 嚥下障害 / 頚髄損傷 / 栄養 / 機能的改善 |
研究開始時の研究の概要 |
栄養状態が良ければ感染症を回避しやすくなるのか、また栄養状態が良ければ麻痺やADLが改善しやすくなるのかという問いは未だ十分に分かっていない。 そこで本研究の目的は頚髄損傷受傷後の栄養状態が、肺炎の発生に及ぼす影響とADL・麻痺改善に及ぼす影響を明らかにすることである。そしてどのような因子が低栄養に関連するのかも併せて明らかにする。危険因子を絞り込み、早期に十分な栄養管理に介入することによって、感染症などの合併症の発症を予防し、機能予後の改善が期待できる可能性がある。
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研究実績の概要 |
免疫栄養状態が肺炎に及ぼす影響の解明すべく、栄養評価の指標であるCONUT scoreおよびPrognostic Nutritional Index(PNI)を用いて、肺炎の発症との関係を調査した。 これまでの肺炎を引き起こした症例と肺炎を引き起こしていない症例に対して栄養学的指標であるCONUT scoreとPNIを抽出し、多変量解析にてそれぞれの指標が肺炎発症に関連しているか解析した。また麻痺の指標であるASIA Impairment ScaleやMotor scoreを使用して、脊髄損傷受傷時の麻痺の状態に対する栄養状態の評価、肺炎の有無を評価している。肺炎の有無を目的変数として、説明変数としてはCONUT score / PNIに加えて、年齢・性別・麻痺の重篤度(ASIA impairment scale)・神経学的損傷高位・嚥下障害(Dysphagia Severity Scale)・肺活量とした解析を行った。 当院にて3か月以上経過観察可能であった182例の解析によると、肺炎の発生率は18%で発症していた。肺炎の有無にて比較した単変量解析では、肺炎例ではCONUT scoreやPNIによる栄養状態が優位に悪く、嚥下障害(臨床重症度分類・FOIS)も有意に悪く、肺活量による呼吸機能も有意に悪かった。これらの因子を多変量で解析すると、PNIによる栄養状態が悪い群、Motor scoreによる麻痺が悪い群、肺活量による呼吸機能が悪い群が多変量ロジスティック解析分析にて危険因子として抽出された。したがって頚髄損傷受傷後の低栄養は、肺炎の発症に有意な危険因子であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肺炎を起こした症例の抽出もできており、麻痺の指標であるASIA Impairment ScaleやMotor score・神経学的受傷高位、栄養状態の指標としてのCONUT score / PNIに加えて、年齢・性別・嚥下障害(Dysphagia Severity Scale/Functional Oral Intake Scale)・肺活量のデータ収集も問題なく行えており、頚髄損傷後に肺炎を引き起こした症例に対して、多変量解析によって、有意な危険因子(低栄養・重篤な麻痺・低肺活量)を抽出することが可能であった。本研究課題は、データ採取もデータ解析も順調に行えており、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
データ解析をさらにすすめて、カットオフ値を割り出して、危険因子の詳細な解析をおこなっていく。また、栄養状態が麻痺の回復やADLの改善に及ぼす影響、つまりリハビリテーションの効果に影響する可能性についても調査していく方針である。
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