研究課題/領域番号 |
23K10472
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
川村 皓生 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 理学療法士 (30812416)
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研究分担者 |
相本 啓太 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 理学療法士 (00790495)
前田 圭介 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 客員研究員 (50775179)
加賀谷 斉 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 部長 (40282181)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 遠隔リハビリテーション / 身体機能評価 / フレイル / 高齢者 / マーカレスモーションキャプチャ / 動作解析 / 評価方法 |
研究開始時の研究の概要 |
近年のマーカレスモーションキャプチャの発達により遠隔での動作解析が可能になりつつある。COVID-19感染拡大の長期化で遠隔診療ニーズが増してきており、それらへの活用が期待される一方で、遠隔での客観的評価方法に関する検証は不十分である。本研究の目的は、マーカレス動作解析機器を用いて、遠隔条件下においても簡便かつ高い精度で筋力や歩行を客観的に評価するための方法を開発することである。本研究は申請者らが保有している高精度動作解析機器や筋力測定機器を用いた詳細な歩行解析ならびに筋力測定結果と、撮影された動作の解析結果との相関分析を行って、筋力の推定や歩行速度などの算出を試みる取り組みである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的はマーカレス動作解析機器を用いて、遠隔条件下においても簡便かつ高い精度で起立や歩行など基本的な動作を客観的に評価するための方法を開発することである。マーカレスモーションキャプチャ技術を用いて撮影された動作の解析を行い、身体機能の客観的定量的な評価を試みる取り組みである。今後、直接的な測定機器を使用せずとも動作の定量化や筋力の推定が可能となれば、現在実験的に行われている遠隔リハビリテーションなどに対して客観的な評価と効果判定の手段を加えることができるようになると考える。 初年度はまず予備検証として、身体機能評価に広く用いられているSPPB評価場面を撮影し、OpenPoseなどの簡易マーカレス解析ソフトウェアと高精度マーカレスソフトウェアであるTheia 3Dによる解析を行った。しかしながら、OpenPoseにおいては特に歩行時の足関節の推定と、対側や体幹で死角となった際の動作の推定が不良であり、撮影環境や対象とする動作および解析方法を再検討する必要があることが明らかとなった。 次に、解析対象とする動作を直線歩行から、より座標移動範囲の少ない座位・立位での足踏み、起立動作、継足立位保持に変更して若年健常者、高齢者、フレイル高齢者を対象に予備的な検証を行った。重心の移動距離や速度に関してはTheia 3D、OpenPoseとも少ない誤差での計測が可能であった。その結果、フレイル高齢者はロバスト高齢者や若年者と比べて、起立動作においては離殿~立位までの所要時間や1施行ごとのばらつきが大きく起立時の最大速度も低下していた。足踏み動作においてはロバスト高齢者と若年者の間でも差が見られた。次年度以降はこれら予備検証の結果を踏まえ、動作ごとのアウトカム設定や測定環境調整を行ったのち、詳細な研究プロトコルのもとで高齢者と若年者での測定と解析に進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はまず予備検証として、身体機能評価に広く用いられているSPPB評価場面を撮影し、OpenPoseなどの簡易マーカレス解析ソフトウェアと高精度マーカレスソフトウェアであるTheia 3Dによる解析を行った。そしてVisual 3Dを用いて各パラメータを抽出しその妥当性について検証した。、若年者4名(平均年齢23歳)を対象とした実験の結果、股関節や膝関節はTheia3DやVICONとの誤差が少ないことがわかるなどの成果がみられたものの、OpenPoseにおいて特に歩行時の足関節の推定と、対側や体幹で死角となった際の動作の推定が不良であった。これらの結果を踏まえ、今後は死角の少ないカメラ配置やカメラの台数などの実験環境を調整することや、推定が悪いデータの補完方法を検討すること、さらに今回実施した動作以外の動作の解析を行うことなどを検討し、検診などの場面で簡易的に実施するためには方法を再検討する必要があると考えられた。 次に、解析対象とする動作を直線歩行から、より座標移動範囲の少ない座位・立位での足踏み、起立動作、継足立位保持に変更して若年健常者3名の動作を撮影し解析した。重心の移動距離や速度に関してはTheia 3D、OpenPoseとも少ない誤差での計測が可能であった(5回起立動作の場合:相互相関係数0.962)。そこでこれらの動作を、高齢者数名を対象に撮影しTheia 3DおよびVisual 3Dで解析を行った。ロバスト、プレフレイル、フレイル高齢者および変形性股関節症により股関節可動域制限のある高齢者を対象に上記動作の撮影を行い解析したところ、フレイル高齢者はロバスト高齢者や若年者と比べて、起立動作においては離殿~立位までの所要時間や1施行ごとのばらつきが大きく起立時の最大速度も低下していた。足踏み動作においてはロバスト高齢者と若年者の間でも差が見られた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は予備的研究が主であったため、現時点で明確な結論には至らず来年度以降も検証を継続する必要がある。予備検証の結果を踏まえ、今後は動作ごとのアウトカム設定、測定環境の調整(カメラ・解析ソフトなど)を行ったのち、詳細な研究プロトコルのもとで高齢者と若年者での測定と解析に進めていく必要がある。また、他の身体機能評価との相関分析や若年健常者、フレイル高齢者、サルコペニア高齢者でのアウトカムの差異についても比較検討を行っていく予定である。
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