研究課題/領域番号 |
23K10478
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
石川 朗 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (10295371)
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研究分担者 |
三木 明徳 神戸大学, 保健学研究科, 名誉教授 (20144561)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | MRI / 呼吸運動 / 姿勢 / 前傾側臥位 / 定量化 / 腹臥位 / 胸腔内部 / 定量的評価 |
研究開始時の研究の概要 |
健常若年者を対象に「腹臥位」、「前傾側臥位」、「背臥位」の3つの姿勢で呼吸動態(肺・横隔膜の動き)の差を定量的に明らかにする。呼吸動態の分析にはMRIを使用し胸部を撮影する。撮影条件や画像解析方法は先行研究を参考にしながら独自に開発する。必要に応じて有料解析ソフトを使用し肺や横隔膜の移動距離や面積を数値で算出する。 その他、基礎的情報としてスパイロメータを用いた肺機能検査、身長・体重・胸郭拡張差、握力を測定する。 本研究はCOVID-19により医療資源がひっ迫する現在において、貴重なエビデンスとなると考える。
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研究実績の概要 |
背臥位・腹臥位・左右前傾側臥位の4つの姿勢において、呼吸に伴う胸腔拡張変化を定量化する方法が構築された点である。本研究の新規性の一つが、MRI撮像では通常行われない”前傾側臥位”という特殊な姿勢の呼吸運動を定量化するという点であった。この前傾側臥位は、側臥位から約45°腹ばい方向に倒した姿勢であるため、安定した磁場信号が得られ難くMRI撮像には適さない。さらに通常のMRI撮像で使用されるボディコイル(身体に載せて信号感受性を高め画像明瞭度を向上させる装置)を用いるとMRI筒内の壁に干渉する問題もあった。そこで予備実験を重ね、ボディコイルを使用せずとも明瞭な画像を得る方法が構築できた。具体的にはFast Field Echo法にて胸腔内臓器の輪郭が描出され易いようMRIの撮像設定を調整した。更に、得られた画像は画像解析ソフトにて信号強度をピクセルレベルで二値化し、各臓器の輪郭が自動的にラインで補完されるプログラムも構築した。この処理により、全ての姿勢において60秒間の安静・深呼吸の呼吸運動を動的に捉え、胸腔拡張幅の測定が可能となった。拡張幅の測定位置は左右それぞれの胸腔中央位置にて胸腔の「上下」・「前後」、さらに胸腔全体の「横」方向の拡張幅を測定できた。よって三次元で胸腔拡張運動を定量化することに成功した。 次に、15名の画像解析が終了し、各姿勢の違いを検証できた点がある。メインアウトカムは被験者の身体的特徴を除外するため、被験者の背臥位の各拡張幅を100%とし、正規化して比較した。その結果、安静呼吸では拡張幅の変化は小さく、全ての姿勢間で胸腔拡張幅に有意差はなかった。一方、深呼吸では有意差があり、胸腔の上下拡張幅は背臥位に比べ腹臥位と左前傾側臥位が約20%小かった。また横方向の拡張幅は背臥位に比べ右前傾側臥位が約60%大きかった。よって姿勢間の違いを検証することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では1年目は「①MRI撮影設定の構築」と「②画像解析方法の構築」であったが、実際は半年間で①と②が達成できたためである。さらに、現在は2年目で終える計画であった「③被験者の募集」 「④MRI撮影、その他検査項目の測定」 「⑤画像解析と結果の提示」 を達成しつつある状況である。 被験者の募集に関しても計画では20名であったが、既に22名まで測定を終えることができている。よって当初の計画以上に進展している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度内においてN数15名のデータでMRIの撮像方法・画像解析方法・胸腔拡張幅の測定方法について新規性の高い実験方法として論文を作成し発表する予定である。また2024年11月に香港で開催されるアジア太平洋呼吸器学会で、本研究の初期段階の報告を申し込んでいる。 各姿勢における胸腔拡張運動の違いについては、N数を更に増やして解析・考察し、今年度から来年度にかけて論文にして発表する予定である。 その後も本研究を更に発展させ、呼吸器疾患患者と健常者の比較や、姿勢と肺血流の関係を検証する予定である。
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