研究課題/領域番号 |
23K10497
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
木藤 伸宏 広島国際大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (40435061)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 肩甲骨運動異常 / 上肢挙上運動 / 肩甲骨運動パターン / 筋シナジー / エクササイズ |
研究開始時の研究の概要 |
肩甲骨上方回旋減少はもっとも頻度が高い肩甲骨運動異常であり、健常者にも多くみられる。この研究は、肩関節痛がない肩甲骨上方回旋減少を有する個人を対象とし、それを起こす要因(コア弱化、肩甲骨・肩関節周囲筋群の筋活動協調不全)の改善を目的にした運動技能トレーニングを開発する。そして、肩甲骨安定化トレーニング(前鋸筋筋力増強運動・ストレッチ運動)と比較して、肩甲骨上方回旋可動性の改善、筋活動協調性改善、上肢運動能力向上に有効であるか検証することを目的にする。本研究は、肩関節痛と肩関節疾患発症・進行の予防戦略を確立するための一助となることが期待される。
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研究実績の概要 |
胸郭上に浮遊する自由度に富んだ肩甲骨を安定させ、上腕骨と協調した動きを実現するためには、複数の筋を協調的に働かせ、かつ、それぞれが適切な筋張力を発揮する必要がある。ヒトの運動は中枢神経系からのmotor コマンドに始まり、まず脊髄レベルに存在する複数の筋シナジーを目的の動作に合わせて (それぞれを柔軟に統合・分離しながら) 駆動し、筋シナジーに含まれる筋のα運動ニューロンを活性化させ、運動単位を動員・発火させることで適切な筋張力を生み出す。故にscapular dyskinesisの発生メカニズムとして以下の仮説が挙げられる。1つは筋シナジーの空間的・時間的構造の異常により適切な筋の協調パターンの生成に問題が生じている。 2023年度は、Scapular dyskinesis testを使用してscapular dyskinesisを有する個人 (SD群) と、有さない個人 (正常群) を対象として、肩甲骨と肩甲上腕関節周囲筋の筋シナジーの空間的・時間的構造の異常により適切な筋の協調パターンの生成に問題が生じているか否かを検討した。肩甲骨面上肢挙上動作時の表面筋電図(僧帽筋上部・中部・下部線維、前鋸筋、三角筋前部・中部線維、上腕二頭筋、棘下筋)を計測し、非負値行列因子分解を使用して筋シナジーの空間的構造と時間的構造を算出し、群間で比較した。その結果、正常群とSD 群の筋シナジーの空間的構造、時間的構造ともに有意差はなかった。SD群はさらに上肢挙上時にscapular dyskinesisを有する個人 (挙上時SD群)と、上肢降下時にscapular dyskinesisが生じる個人 (降下時SD群) に細分化して、サブ解析を行なった。しかし、結果は同様で3群間に有意差はなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肩甲骨運動異常の原因として、筋シナジーの解析の研究を行う必要があり、それを実施した。その中で肩甲骨運動異常のスクリーニングテストの再検討が必要であることが分かり、研究協力者と討論する必要があった。そのため、当初計画したスケジュールよりも被験者の募集が遅れている。 さらに肩甲骨および肩甲上腕関節周囲筋の筋シナジー解析で、今回購入したEMGセンサで計測する筋数を増やしたため、MAtlabプログラムが上手く作動せず、そのためのプログラム修正に時間がかかった。現在は、それは改善し、プログラムは正常に作動している。
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今後の研究の推進方策 |
肩甲骨運動異常のスクリーニング法はすでに確立し、被験者の選定および介入はすでに開始している(現時点では3名に介入)。被験者は、特に前鋸筋と僧帽筋下部の運動単位の減少が認められた者を優先的にエクササイズ介入群としている。すでに5名の被験者に対し、肩甲骨運動解析、筋シナジー解析、前鋸筋と僧帽筋下部線維の運動単位解析を実施している。2024年度は今行っていることを継続して行う。
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