研究課題/領域番号 |
23K10498
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
氏家 悠佳 (小林悠佳) 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第五部, リサーチフェロー (20511562)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | シュワン細胞 / 髄鞘化 / 末梢神経 / 低酸素 / ミエリン / グリア細胞 / 転写因子 |
研究開始時の研究の概要 |
傷害された末梢神経軸索は再伸長能を有するが、自己治癒が難しく、軸索伸長を促す基質送達の基盤としてシュワン細胞が注目を浴びている。シュワン細胞はいくつかの段階的な分化を経て末梢神経の髄鞘形成に至るが、分化調節機構は不明な点が多い。これまでにHIF1αがシュワン細胞の再分化を促進する可能性を見出してきた。末梢神経髄鞘化の分子基盤を明らかにすべく、HIF1α安定化を介したシュワン細胞における分化調節機構を同定し、さらに、本研究で得られた知見の重要性について動物個体および細胞レベルで多角的に精査し、糖尿病性末梢神経障害を含めた末梢神経障害の病態理解と新規治療薬標的の提示を目標とする。
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研究実績の概要 |
末梢神経髄鞘化におけるシュワン細胞の分化制御機構の重要性が提唱されているが、詳細な基盤分子機構は不明な点が多い。これまでに末梢神経髄鞘化に関わる因子を探索する中で低酸素応答反応において中心的に機能するHIF1αが髄鞘化促進因子となることを見出した。酸素は、生体にとってエネルギー産生に不可欠なガス分子であるが、局所で低酸素環境が保持されることが報告されている。我々は、発達初期の末梢神経で低酸素プローブに応答する低酸素環境が存在することを組織染色により明らかにした。また、傷害後末梢神経においても一過性に低酸素環境が形成され、シュワン細胞内にHIF1αが安定して発現することが分かった。したがって、末梢神経の組織中の酸素分圧は発達のステージ、生体の健康状態(疾病や創傷)によって変調することが示唆される。HIF1αはエネルギー代謝やストレス応答など様々な生体反応に関わる遺伝子発現を調節する。しかしながら、髄鞘化に関わる遺伝子制御にHIF1αが関与するかについては検討されていない。本研究では、ラットのシュワン細胞を用い、HIF1αによるmyelin basic protein(MBP)遺伝子プロモーター活性への影響をレポーターアッセイにより評価した。HIF1αはプロリン水酸化酵素によるプロリン残基の水酸化により分解されてしまうため、プロリン残基をアラニンに置換した変異体HIF1α遺伝子導入した。同時に、myelin basic proteinのプロモーター下流にFirefly-luciferaseを組み込んだプラスミドを遺伝子導入し、Luciferase活性を測定した。その結果、コントロールベクターを導入したシュワン細胞と比較してHIF1αの安定発現することでMBPのプロモーター活性が増強することが明らかとなり、HIF1αによって直接的にMBP遺伝子が発現調節されることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一般的なHIF1αの遺伝子転写についてはこれまでおおむね解析が進んできたが、シュワン細胞におけるHIF1αの転写因子としての役割は明らかにされていなかった。本研究で、実際に主要なミエリン関連遺伝子に関する転写活性にHIF1が関与することを明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに公開されている遺伝子データベースからMBP以外のミエリン関連遺伝子のプロモーター領域における低酸素応答エレメントの存在を調べてみるとOCT6やErbb2などにも存在している。シュワン細胞を用いて、HIF1αを安定的に発現させることでHIF1α依存的に転写活性を受ける遺伝子について網羅的に解析する計画である。解析結果から、末梢神経疾患に関連のありそうな遺伝子が見いだし、実際に疾患モデルを作製して詳細に調べることを計画している。
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