研究課題/領域番号 |
23K10521
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 大阪保健医療大学 |
研究代表者 |
大類 淳矢 大阪保健医療大学, 保健医療学部, 助教 (30883970)
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研究分担者 |
石井 良平 大阪公立大学, 大学院リハビリテーション学研究科, 教授 (40372619)
内藤 泰男 大阪公立大学, 大学院リハビリテーション学研究科, 教授 (40342224)
白岩 圭悟 大阪河崎リハビリテーション大学, リハビリテーション学部, 講師 (70908128)
井上 貴雄 大阪公立大学, 大学院リハビリテーション学研究科, 講師 (40779427)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 作業療法 / 集団 / 自律神経 / 脳波 / 社会的緩衝 / Frontal midline theta |
研究開始時の研究の概要 |
作業療法では、基本的な集団形態として、それぞれの参加者がそれぞれの作業に取り組む「パラレルな場」が広く用いられている。本研究では、このパラレルな場が持つ効果を脳活動・自律神経活動の観点から明らかにし、対象者の特性に応じた効果的・選択的なリハビリテーションに応用することを目的とする。これにより、作業療法の治療構造が持つ優位性を客観的・生理学的に説明し、将来的により効果的・選択的なリハビリテーションの形態を提案することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、作業療法におけるパラレルな場が持つ効果を脳活動・自律神経活動の観点から明らかにすることである。2023年度には健常者30名において、単独条件・パラレルな場条件・ノンパラレル条件の3条件で、作業中の脳波と心電図を測定した。その結果、副交感神経活動においてはパラレルな場条件が単独条件よりもその変化量が有意に正方向に大きかった。また注意集中状態の脳波指標であるFrontal midline theta rhythmが出現した者は、出現しなかった者よりもいずれの条件においても有意に副交感神経活動の変化量が正方向に大きかった。脳波活動は条件間での有意差は認められなかったが、パラレルな場条件においてはα1帯域の右前部島皮質の電流源密度と副交感神経活動との間に負の相関を認め、同帯域の右前下頭頂小葉-左後部島皮質の機能的結合と副交感神経活動との間に負の相関を認めた。ノンパラレル条件では、β1帯域の右上・中・下前頭回の電流源密度と交感神経活動との間に正の相関を認め、α1帯域の前帯状皮質-右後部島皮質の機能的結合は副交感神経活動との間に負の相関を認めた。以上の結果より、パラレルな場条件では社会的緩衝によるストレスの緩和効果が、相互交流や身体的接触を伴わずとも生じ、この効果は作業への集中により増強される可能性が示唆された。特にα1帯域の脳波活動の電流源密度や機能的結合が副交感神経活動と関連していると考えられ、他者への意識や親密度が副交感神経活動と関連する可能性が示唆された。本研究の結果は国際誌に投稿し受理、掲載済みである。 今後は精神疾患を有する対象者における検討など、より臨床的状況での効果の検証が必要である。また他者や集団を治療構造に含むという作業療法の治療構造に則った状況や設定における検証を重ねる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
健常者における予定数のデータが収集でき、国際誌への投稿、掲載が計画通り順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
統合失調症などの精神障害者を対象としたデータ収集を行い、精神障害者軍における脳波や自律神経活動の検討及び、健常者群との比較を行う予定である。 また、例えば他者のために作業を実施する、などといった、他者や集団を治療構造に含むという作業療法の特徴的な治療構造に則った状況や設定における検証を重ねる予定である。
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