研究課題/領域番号 |
23K10542
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
太田 大樹 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 助教 (10712432)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 筋膜 / 骨格筋 / RNAシーケンス法 / 筋膜発現変動因子 / 遅発性筋痛 / 機械痛覚過敏 |
研究開始時の研究の概要 |
「遅発性筋痛」は不慣れな運動の後に誰しもが経験する痛み (痛覚過敏) であるが、その発生源の一つと考えられる「筋膜」の分子基盤は十分に解明されていない。そこで、遅発性筋痛において「筋膜」で発現変動する遺伝子および分子群を同定し、それらの痛覚過敏における役割を、分子生物学、免疫組織化学、生化学、電気生理学を組み合わせた複合的アプローチにより明らかにする。本研究により「筋膜」の新しい病態生理学的役割を解明し、遅発性筋痛を治療・予防するための運動処方の実現に挑む。
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研究実績の概要 |
本計画では、「遅発性筋痛」において痛みを強く生じる筋膜組織に着目し、遅発性筋痛における下腿筋膜および前脛骨筋を対象にRNAシーケンス法を用いた遺伝子発現解析を行った。雄性SDラットの下腿伸筋群に伸張性収縮(LC)を負荷し、遅発性筋痛モデルを作製し、痛みが最も強くなるLC24時間後に下腿筋膜とその直下に位置する前脛骨筋から全RNAをそれぞれ精製後、DEG解析およびリアクトームデータベースを用いたパスウェイ解析を行った。1)まず、無処置の筋膜と筋の間の比較解析において、筋膜で4,888遺伝子が発現増大遺伝子として抽出された。さらにパスウェイ解析の結果、33の反応系が筋膜で抽出され、筋膜の遺伝子発現特性は筋と大きく異なることがわかった。2)LC24時間後の筋膜において、非運動側(反対側)の筋膜に対し、発現上昇遺伝子が12個、発現低下遺伝子が208個抽出された。発現増大遺伝子のうち、抗炎症経路への関与が報告されているAnkrd1 mRNA発現レベルをリアルタイム逆転写PCR法で調べたところ、LC側で非運動側に比べて有意な発現増大がみられた。一方、これまで筋由来の遅発性筋痛発症因子として報告されている「神経成長因子」および「シクロオキシゲナーゼ2」のmRNA発現レベルは、筋膜においてはLCによる変動がみられなかった。また、発現減少遺伝子に対するパスウェイ解析を行ったところ、バリア機能に関わるパスウェイが抽出された。今後は、本研究で抽出された因子の筋膜における発現分布を免疫組織化学的に解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RNAシーケンス法を用いた遺伝子発現解析の結果、筋膜においてこれまで注目されてこなかった新たな変動遺伝子を抽出することができた。一方で、筋膜における遅発性筋痛発症に関わるハブ遺伝子の同定には至っておらず、目下解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、RNAシーケンス法による遺伝子発現解析で抽出された因子について、筋膜における発現分布を明らかにするため、免疫組織化学的解析を行う。また、抽出因子および関連因子の阻害による行動薬理学的、電気生理学的検証を行うことで、遅発性筋痛の症状への関与を明らかにし、学術雑誌への論文投稿および成果公表に努める。
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