研究課題/領域番号 |
23K10574
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
山中 博樹 兵庫医科大学, 薬学部, 准教授 (20340995)
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研究分担者 |
小林 希実子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (70418961)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | GAP-43 / JNK / リン酸化 / L1-CAM / 形態変化 / 可塑性 / 神経傷害性疼痛 / 脊髄後角 / シナプス可塑性 / 細胞間接着因子 / 再生関連因子 |
研究開始時の研究の概要 |
損傷C線維終末の肥大変形したvaricosityが神経傷害性疼痛に関与するシナプス可塑性の場であるという研究は申請者のオリジナルで、2021年に初めて発表したた(eNeuro. 2021 8:eNEURO.0499-20)。本研究はその延長上にあり、軸索-軸索間シナプス形成の「場」としての損傷C線維終末の肥大化メカニズムを明らかにすることを意図している。肥大変形した終末に存在する再生関連因子と、その部位で可塑的変化に参画するシナプスを神経傷害性疼痛の病態因子として捉える事は新規の病態評価である。これらの課題を明らかにできれば新たな神経傷害性疼痛治療戦略の標的を提唱できると考えられる。
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研究実績の概要 |
末梢神経損傷を用いた神経傷害性疼痛モデルラット(SNIモデルラット)の後根神経節(DRG)の損傷ニューロンにおいて、過去の報告より多くのGrowth associate protein 43 (GAP-43)の発現増加を認めた。Serine81残基のリン酸化を受けたGAP-43(pGAP-43)に対する抗体を用いたところ、GAP-43陽性ニューロンの中で小型のC線維ニューロンにおいて増加が認められた。pGAP-43のSerine81残基のリン酸化にはc-Jun N-terminal protein kinase mitogen-activated protein kinases (JNK MAPK)が直接のリン酸化を行っているという報告と、損傷DRGニューロンにおいてJNKのリン酸化が増加するとの報告があるため、SNIモデルラットDRGにおいてJNKのリン酸化抗体を用いて検討したところ、これまでの報告より長期わたってのJNKのリン酸化が検出され、98%程度のpGAP-43陽性ニューロンはJNKのリン酸化が認められた。SNIモデルの脊髄後角においてもGAP-43, pGAP43陽性終末の増加が認められたがDRGの結果に反してGAP-43陽性終末は後角I-II層に限局して認められ、pGAP-43陽性線維の増加領域に共存していた。脊髄後角での陽性終末の検討を行ったところ、末梢神経損傷あとに後角終末で肥大するL1-CAM陽性終末とGAP-43は共存を示した。特にpGAP-43についてはL1-CAM陽性の肥大化したVaricosityに局在を示し、形態変化している部位での役割が考えられた。このためSNIモデルラットを用いてJNK阻害剤投与の後角のL1-CAM陽性の損傷C線維終末の形態解析を疼痛行動解析と併せて行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
信頼性の高い抗体を使用することで評価しやすい染色像を得ることがができた。モデル動物の傷害の程度の再現性が高かった。
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今後の研究の推進方策 |
興奮マーカーや微細形態、或いは2光子励起顕微鏡による解析を試みてJNK阻害による後角の可塑的変化を形態的・機能的に評価する。またJNK活性化が後角可塑性の分子スイッチである可能性を探究し、上流因子の探索を行う。
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