研究課題/領域番号 |
23K10598
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
柳田 信也 東京理科大学, 教養教育研究院野田キャンパス教養部, 教授 (80461755)
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研究分担者 |
小林 正樹 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 講師 (30795612)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 身体活動量 / エンリッチ環境 / モノアミン / セロトニン / ヒラメ筋 / 豊かな環境 / 自発運動 / マイオカイン |
研究開始時の研究の概要 |
我々はこれまでに、動物モデルを用いて身体活動と脳機能(特に抗うつ・抗不安効果)の関係性について明らかにしてきた。しかしながら、脳機能に最適な身体活動“量”についてはよくわかっていない。また、運動の効果器である骨格筋と脳の連関に対する身体活動“量”の影響は全く分かっていない。そこで、本研究では実験動物において、身体(生活)活動量の増加が脳機能に適応的な変化をもたらすための至適活動量とそのメカニズムを明らかにすることを目的とする。本研究により、身体不活動予防のための適度な身体活動の効果が明らかとなり、運動習慣者の増加に寄与することが期待される。
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研究実績の概要 |
申請者らはこれまでに、動物モデルを用いて身体活動と脳機能(特に抗うつ・抗不安効果)の関係性について明らかにしてきた。しかしながら、脳機能に最適な身体活動“量”についてはよくわかっていない。また、運動の効果器である骨格筋と脳の連関に対する身体活動“量”の影響は全く分かっていない。そこで、本研究では実験動物において、身体(生活)活動量の増加が脳機能に適応的な変化をもたらすための至適活動量とそのメカニズムを明らかにすることを目的とした。2023年度は、我々がセットアップした身体活動量を増加させる多層階のエンリッチ環境を用いて身体活動量と脳機能及び骨格筋、脂肪細胞の変化について解析を行った。その結果、大変興味深いことに、多層階のエンリッチケージの身体活動量の変化は一般的なエンリッチケージと比較して、飼育開始初期は少ないレベルで推移し、その後、同程度まで増加することが分かった。脳内モノアミン量は単層階のエンリッチ環境よりも有意な変化を示していた。また、ヒラメ筋の骨格筋量がコントロールや単層階と比べて多層階では有意に増加しているにもかかわらず、筋細胞の粒径は小さくなっていることを明らかにした。これらの表現型は極めて興味深いものであり、次年度以降にこの変化及び連関のメカニズムを解析することに期待がもたれる成果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、身体活動量の増加と脳-骨格筋クロストークの関係を解明するために、身体活動量を変化させる動物モデルをセットアップした(以下に示す5条件)。 A コントロール群(通常の飼育ケージ)、B 単層階ケージ(ホイール無し)、C 単層階ケージ+回転ホイール、D 多層階ケージ(ホイール無し)、E 多層階ケージ+回転ホイール このモデルを用いて身体活動量の解析を行い、単層階と多層階におけるホイール以外の身体活動量の推移が異なることを明らかにした。この結果は、本申請課題の核心的なターゲットである、さまざまな身体活動量の変化を調査するための動物モデルの形成に大きく寄与するものとなった。また、2023年度計画として、解析対象であったインターロイキン‐6(IL-6)・イリシン・インスリン用成長因子‐1(IGF-1)・PGC‐1αなどの骨格筋関連物質や遺伝子の変動を調査した結果、既存の運動モデルとは異なる変動を示していることを明らかにした。一方で、脳内においてはランニングホイールによるモノアミン神経系の亢進と同様な変化を報告している。これらの結果は、仮説から外れたものも含まれるが、想定の範囲内であり、次年度以降の詳細なメカニズム解析の基礎が確立したと考えられるため、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度において、我々は身体活動量の特徴的な変化、骨格筋や脳神経系の身体活動量によって起こる変化の表現型を明らかにしている。今後は、まず、骨格筋や脳内それぞれにおいて、この表現型を生むマスターレギュレーターの探索に取り掛かる。そして、それらのクロストークのメカニズムを解析することで、本申請課題の到達度目標は達成されると考えている。
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