研究課題/領域番号 |
23K10612
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
三宅 克也 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 教授 (30219745)
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研究分担者 |
川合 克久 香川大学, 医学部, 助教 (80534510)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 細胞膜修復 / 細胞膜損傷 / マイオカイン / 二光子顕微鏡 / 細胞外小胞 / カルシウムイメージング / 電子顕微鏡 / 膜融合 / 小胞輸送 / 細胞膜 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は30年にわたり、細胞膜損傷によって細胞内と細胞外を物質が行き来する現象を報告してきた。また、この膜損傷は瞬時に修復し、生理的な条件下で様々な組織細胞で起こっていることを明らかにした。さらに、準超解像レベルのLIVE イメージングを行い、膜修復メカニズムをリアルタイムの分子動向で明らかにしつつある。本研究では、本学に設置された多光子高速スキャンレーザー顕微鏡を用い、スポーツによる筋線維膜損傷修復とマイオカインの分泌過程を顕微鏡下に再現し、筋線維からのマイオカインの多様な分泌現象を、超高速・超解像レベルで明らかにすることを目的としている。
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研究実績の概要 |
生体内では骨格筋の 5~30%が細胞膜損傷修復を繰り返している。線維芽細胞成長因子(FGF)は筋線維に一様に存在し、細胞膜損傷によって細胞外へ大量に分泌される。しかし、その分泌機構は未だ不明でありマイオカインとしての機能も不明である。本研究ではFGFの分泌機構および細胞膜修復との関与について検討を行った。LIVEイメージングによって、培養細胞およびマウス骨格筋線維からの GFP-FGF1 の分泌現象を観察した。さらに損傷細胞のカルシウムライブイメージングを行った。また、大量の培養細胞をシリンジローディングで損傷後、全エクソソーム単離試薬により分泌されたエクソソームを収集し、電子顕微鏡を用いて形態学的解析を行った。加えて、プロタミン硫酸塩を添加した細胞に対して、細胞内 ATP の漏れを指標にした細胞膜修復アッセイを実施した。その他、培養細胞を用い、無傷細胞、損傷細胞および損傷細胞外液についてウエスタンブロットを行った。培養細胞およびマウス骨格筋線維から GFP-FGF1 の分泌現象を高速・高解像レベルで捉えることに成功した。Cal520、Rhod-4 を用いて損傷修復細胞、それに接触する細胞、損傷していない細胞、さらに遠くの非接触細胞へとカルシウム波が広がる様子を確認した。また、損傷液やリコンビナント FGF1,2 を加えたところ、カルシウム波が広がる様子が確認できた。しかしながら、損傷液から抽出した全エクソソーム、IL-6、HGF には反応せず、全エクソソーム単離試薬により分泌されたエクソソームを電子顕微鏡により形態学的解析を行ったが、細胞損傷液上清に膜を伴う細胞外小胞はほとんど観察されなかった。ウエスタンブロットでは損傷細胞内および外液中に FGF2 が検出された。さらに、ATP細胞膜修復アッセイを行ったところ、FGF阻害剤であるプロタミン硫酸塩は細胞膜修復を阻害した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
膜損傷時に分泌されるマイトカインとしてFGF1(aFGF)に注目し、損傷時のFGF1の細胞外への分泌を確認した。また、損傷時の小胞体から損傷膜への膜供給可視化に成功した。細胞内ATPの漏れを指標にした細胞膜修復アッセイを行ったところ、FGF阻害剤プロタミンサルフェートは細胞膜修復を阻害した。これらの結果より、FGF1, 2は細胞膜修復に必要であり、細胞損傷シグナルを伝達するマイオカインであると考えられた。これらの結果を国際学会にまで発表できたが、コロナ禍によって海外での共同実験ができず論文発表にまで至っていない。新しい細胞膜修復アッセイの繰り返し実験に時間がかかっているため。
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今後の研究の推進方策 |
マイオカインのGFP ベクターを作製し、マウスまたはヒト筋芽細胞へ遺伝子導入を行い、分化誘導させた筋管細胞を二光子レーザーで損傷しAiryscan でLive 観察を行う。作製したマイオカインGFP プラスミドを導入した細胞に、PHK67 蛍光リンカキットなど細胞外小胞を染め分けられる最新の染色法を用い、それらのマイオカインの分泌様式を多光子顕微鏡LIVE イメージングによって明らかにする。FGF ファミリー、Rab ファミリーで標識した膜移動、カルシウムに反応するアネキシンファミリー、様々なマイオカインの詳細な分泌形式を観察する。またこれらのベクターをドミナントネガティブ(DN)へ改変して機能的実験も行う。ウエスタンブロッティング、ELISA などを用いて、分泌物の生化学的タンパク解析も行う。
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