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筋収縮とカルシウムシグナリング

研究課題

研究課題/領域番号 23K10634
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分59020:スポーツ科学関連
研究機関京都大学

研究代表者

西 美幸  京都大学, 薬学研究科, 研究員 (60183894)

研究分担者 市村 敦彦  京都大学, 薬学研究科, 助教 (10609209)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワード骨格筋 / カルシウム / MG23 / 筋肉
研究開始時の研究の概要

1.HEK細胞を用いたリアノジン受容体とTRICチャネルの共発現系を用いて、TRIC-Aとの共発現でのみ細胞が死滅するのは何故かを検証する。さらにそれぞれのチャネル活性が共発現によって変化するかを解析する。
2. 連続切片を用いて免疫染色によるミオシン重鎖とVISIUMによる空間トランスクリプトーム解析を実施する。Mg23 欠損マウスでは通常飼育において既に筋線維タイプ割合の変動が起こっておりMg23 欠損における何らかの変化が線維変動を引き起こしていると考えられる。
3.Tric, Mg23ダブル欠損マウスを交配により作製し、単体欠損での表現型が強くなるのか弱まるのかを検討する。

研究実績の概要

ミツグミン23(MG23)は、我々の研究室が同定し1999年に報告したタンパク質で、広範な組織の小胞体と核膜に発現する膜タンパク質である。構造的には6量体となってボール状の形態をとり陽イオンチャネルとして働きカルシウムイオン透過性もある。従って、MG23は今だ生理機能は不明であるが、細胞内最大カルシウム貯蔵庫である小胞体に発現し、カルシウム透過チャネル活性を有しているため、細胞機能に重要なカルシウムシグナル伝達に関与している可能性が高い。
そこで、Mg23 ノックアウト(KO)マウスを用いて、カルシウム動態、小胞体カルシウム関連タンパク質発現量を野生型マウスと比較した。Mg23 KOマウスでは、1)長母指伸筋(EDL)のカルセクエストリン 2含量とヒラメ筋(SOL)のSR Ca2+-ATPase 2(SERCA2)含量が増加、2)EDLおよびSOLにおいて、筋小胞体、ミトコンドリア、および内因性Ca2+含量と呼ばれる横管系を含む膜系総Ca2+含量の上昇、3)EDLとSOLにおける最大Ca2+含量の増加、4) SOL I型線維におけるSR Ca2+漏出の減少、5) SOLI型線維におけるSR Ca2+取り込みの亢進が認められた。これらの結果は、MG23がI型とII 型両方の線維においてSR Ca2+蓄積を減少させることを示唆し、我々が提唱している、“MG23は小胞体カルシウム漏出チャネルとして機能する” と矛盾しない。
筋小胞体カルシウム貯蔵機能は、骨格筋の健康状態や疾患状態を左右する極めて重要な役割を担っている。非選択的カチオンチャネルであるMG23が、骨格筋線維のカルシウム貯蔵を修飾することを明らかにしたこれらの知見は、筋疲労、筋疾患のメカニズムを解明する大きな可能性を提供する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1.HEK細胞にリアノジン受容体(RyR)とTRICチャネル(TRIC-A or -B)を共発現し、RyR, TRIC-A共発現のみで細胞が死滅するのは何故か? それぞれのチャネル活性が共発現によって変化するか?― 電流が内腔から細胞質方向に流れる条件において、TRIC-Aの存在は、細胞質Ca2+のPo増加を著しく増強した。つまりTRIC-Aの存在は、Ca2+がSR内腔から細胞質へ流れる場合、RyRの開口を促進すると考えられる。TRIC-A, -Bのいずれかが存在すると、EC-coupling時にRyR2の活性が増強され、SRのCa2+放出が増加すると考えられ、その効果はTRIC-BよりもTRIC-Aの方が大きかった。
2.連続切片を用いてミオシン重鎖免疫染色とVISIUM空間トランスクリプトーム解析を実施するー免疫染色においてMg23 欠損マウスのみに幼若な胎児型ミオシンが染色され、筋肉の再生が起こっていることが確認された。
3.Tric-a, Mg23ダブル欠損マウスを作製し、単体欠損マウスと比較するーダブル欠損マウスは大きな表現型はなく発育し交配も可能である。今後は、マウスの発育を待って解析を開始する。

今後の研究の推進方策

1.Mg23 欠損マウスでは、疲労刺激後の筋張力の回復が早いことが観察されている。今後は、この現象とカルシウムとの関連を調べることを優先させる。

2.Tric-a, Mg23ダブル欠損マウスは、成獣筋肉切片で中心核が10%程度観察されたことから、筋肉の破壊と再生が亢進している可能性がある。成獣筋肉切片の中心核はTric-a単独欠損マウスでは観察されず, Mg23単独欠損マウスでは数%観察されることから、ダブル欠損マウスでは筋肉の破壊再生が亢進している、と考えられる。この違いを中心にダブル欠損マウスの解析を進める。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Ca<sup>2+</sup> storage function is altered in the sarcoplasmic reticulum of skeletal muscle lacking mitsugumin 232024

    • 著者名/発表者名
      Watanabe Daiki、Nishi Miyuki、Liu Feng、Bian Yuhan、Takeshima Hiroshi
    • 雑誌名

      American Journal of Physiology-Cell Physiology

      巻: 326 号: 3 ページ: C795-C809

    • DOI

      10.1152/ajpcell.00440.2023

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The biophysical properties of TRIC-A and TRIC-B and their interactions with RyR22023

    • 著者名/発表者名
      Hu J, Venturi E, Sigalas C, Murayama T, Nishi M, Takeshima H, Sitsapesan R.
    • 雑誌名

      J Gen Physiol.

      巻: 155 号: 11

    • DOI

      10.1085/jgp.202113070

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Atypical cell death and insufficient matrix organization in long-bone growth plates from Tric-b-knockout mice2023

    • 著者名/発表者名
      Ichimura Atsuhiko、Miyazaki Yuu、Nagatomo Hiroki、Kawabe Takaaki、Nakajima Nobuhisa、Kim Ga Eun、Tomizawa Masato、Okamoto Naoki、Komazaki Shinji、Kakizawa Sho、Nishi Miyuki、Takeshima Hiroshi
    • 雑誌名

      Cell Death and Disease

      巻: 14 号: 12 ページ: 848-848

    • DOI

      10.1038/s41419-023-06285-y

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [備考]

    • URL

      https://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/biochem/index.html

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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