研究課題/領域番号 |
23K10659
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
佐久間 邦弘 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 教授 (60291176)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 骨格筋 / サルコペニア / 筋線維 / 老化 / 脂肪蓄積 / 筋内脂肪蓄積 / 筋萎縮 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、サルコペニアのメカニズムに関係するオートファジー機能不全にヒントを得て、骨格筋内での筋内脂肪蓄積(Myosteatosis)にオートファジーの1つに分類される脂肪分解機構 (リポファジー)の機能不全が関係しているのではないかと考えた。また随分前から話題になっていた筋内脂肪蓄積のメカニズムがわかっていないことに気づき、脂肪蓄積を誘導するPim1とペリリピン2の変化に着目した。高齢マウスの大腿四頭筋を用いた免疫組織化学により、脂肪滴の接着に関わるペリリピン2の免疫活性が増加している。これらのことから、ペリリピン2がサルコペニアでの筋内脂肪蓄積に関与する可能性があると考えている。
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研究実績の概要 |
以前採択された科研費で、高齢マウスの大腿四頭筋の筋線維において、オートファジー関連物質 (p62)の免疫活性が亢進していることを我々は証明した (Sakuma K et al., J Cachexia, Sarcopenia and Muscle 7: 204-212, 2016)。p62の細胞内沈着は、オートファジー機能不全のためである可能性が高い。広義のオートファジーには、ミトコンドリアを分解するマイトファジー、脂肪を分解するリポファジーなども含まれる。通常のオートファジーが機能不全になっていることから、サルコペニアの筋ではリポファジーにも機能不全が起こるのではないかと考えた。メカニズムははっきりしていないものの、サルコペニアの筋では筋内脂肪蓄積 (Myosteatosis)の増加が明らかであり、そのメカニズムに加齢筋における脂肪分解減退の可能性が十分考えられる。この蓄積原因には、筋肉幹細胞から脂肪細胞への変換、脂肪滴の分解阻害が想定され、これらの機序に関係するPim1、ペリリピン2、HSC70、Rab10 の発現変化に着目した。今年度は、若齢 (3ヶ月齢)と高齢 (24ヶ月齢)マウスの大腿四頭筋を用いてPim1とペリリピン2の発現様相を蛍光免疫組織染色で検証した、若齢筋におけるペリリピン2の活性は主に細胞膜で認められ、加齢筋においてもほぼ同様な傾向があった。さらに加齢筋においては、ペリリピン2の陽性箇所が筋細胞質内で楕円状に確認された。一方Pim1の蛍光免疫活性は若齢筋、加齢筋とも細胞膜で検出されたが、両群間に有意な傾向が認められなかった。以上のことから、リポファジーの障害によりサルコペニアにおける筋内脂肪蓄積が生じている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
加齢筋における筋内脂肪蓄積(Myosteatosis)に関わる可能性のある、Pim1とペリリピン2の蛍光免疫組織染色が完了し、若齢筋、加齢筋ともペリリピン2の細胞内陽性箇所の面積専有率解析がほぼ完了している。
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今後の研究の推進方策 |
加齢筋におけるリポファジー関連物質 (Pim1とペリリピン2)の変化について、蛍光免疫組織染色での検証がほぼ完了した。これらの物質についてWestern blot法を用いた解析を今後行う予定である。また加齢筋におけるそれ以外の関連物質であるHSC70とRab10においても、蛍光免疫組織染色とWestern blot法による解析を実施予定である。
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