研究課題/領域番号 |
23K10665
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
稲見 崇孝 慶應義塾大学, 体育研究所(日吉), 講師 (10750086)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 運動誘発性筋損傷 / 生体電気インピーダンス / レジスタンス / リアクタンス / フェーズアングル / 局所生体電気インピーダンス / ベクトル解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はEIMDに対して、1)L-BIVAと従来指標との相互関係、2)抽出された関係が年齢や性差、運動強度、筋量などの因子から受ける影響の観点から検証するものである。上述のように、L-BIVAのEIMDへの応用は独自性が極めて高く、装置自体が比較的安価なことや、携帯性の高い装置があることから、スポーツ現場でのEIMDの早期評価として実装されやすい特徴がある。本研究において、従来指標との関係をどの程度説明し得るのかを明らかにすることでいつでも・どこでも・だれもが測定できる基礎データが蓄積され、将来的にはさらにEIMDから速く回復する(ダメージが最小化する)ような治療法開発の起点にできる。
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研究実績の概要 |
本研究は、運動によって腕などの局所へ生じた運動誘発性筋損傷 (Exercise-Induced Muscle Damage: EIMD) に対して、携帯性があり、より早期に、実用性のある評価として局所生体電気インピーダンス計測(Localized-Bioelectrical Impedance Vector Analysis: L-BIVA)を提案するために設計している。健康の維持・増進に運動やスポーツは欠かせないが、久しぶりに身体を動かした後や不慣れな運動にチャレンジした後のEIMDは特に顕著である。そのため、いつでも・どこでも・誰もがより早期にリカバリーへ取り掛かるための基盤となるL-BIVAの標準データ・基礎データの蓄積と実用範囲の明確化を目的としている。今年度は、申請時の計画に従い、L-BIVAとEIMDに関する従来指標との関係を調査した。健常若年男性35名の左腕(肘関節屈曲筋群)を対象とした。参加者は、事前に測定した等尺性最大筋力に対する50%の負荷となるダンベルを用いてエキセントリック収縮局面が強調されたダンベルエクササイズを10回5セット行った。エクササイズの前後と1日、2日、3日、4日、7日後までいくつかの測定を行い経過を追跡した。測定は、多周波電気インピーダンスデバイスや最大等尺性筋力に加え、関節可動域、痛み、周径囲、生化学マーカー(タイチン)等を計測した。その結果、すべての時点で、細胞内および細胞外の水分含有量が右腕よりも左腕の方が増加し、多周波インピーダンスデバイスから得られたインピーダンス、リアクタンス、レジスタンス、およびフェーズアングルといった指標が右腕よりも左腕に変化が確認できた。また、周波数によって異なるが、リアクタンスはEIMDを示すバイオマーカーのタイチンと相関していた。 本成果は現在論文として投稿・査読中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画に従うことで、被験者のリクルートや実験の遂行、詳細解析までの一連のスキームをスムーズに推進することができた。そのため、当初の計画を半年以上前倒しで進めることができた。スケジュール以外の観点では、EIMDに関する従来指標や今回新たに取得する新規マーカーの項目に関する文献渉猟を済ませていたため、方法論的なノウハウや解析手段に関する検討を済ませた上で実験をスタートさせることができた。解析結果も仮説を指示する形であったため、論文化のためのアクションを計画的に進めることができている。こうした理由の積み重ねにより当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度得られた知見については今後も学術雑誌を中心に公表することへ優先順位を置き、内外に広く情報を発信していく。加えて、今後の研究については、当初計画に従い、年齢や性差による影響について検討する。具体的には、これまでは若年男性にてデータを取得したため、1)男性の対象年齢範囲を拡大すること、2)若年女性を対象に追加する、3)女性の対象年齢範囲を拡大する、といった手順で研究を推進する。先行研究によると若年男性に比べて上記の特に2)および3)は月経やホルモンバランスの影響などによりいくつかの項目に異なる反応が生じることも報告されているため、これらを考慮した測定項目の追加についても検討しながら慎重に実験を推進する予定である。
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