研究課題/領域番号 |
23K10689
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
奈良 明奈 東北医科薬科大学, 医学部, 講師 (50722576)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ドーピング / フェネチルアミン / 腐敗尿 / 保管温度 |
研究開始時の研究の概要 |
世界アンチ・ドーピング機構において、フェネチルアミンおよびその誘導体はドーピング禁止物質として指定され、ドーピング検査でそれらが検出された場合、アスリートに対し制裁が科されることがある。一方、死後一定時間を経過した尿中には、腐敗細菌増殖によるフェネチルアミンが産生される。そのため、採尿後の保管環境が劣悪ならば、尿中腐敗細菌によるフェネチルアミン産生に伴いドーピング検査で偽陽性となる可能性がある。 本研究ではヒト生体尿を用い、尿を冷凍・冷蔵・室温下で一定期間保管し、フェネチルアミン産生にかかる時間と濃度との関連性について検討することで、アスリートの尿検体の保管基準確立の一助となる可能性を追究する。
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研究実績の概要 |
世界(日本)アンチ・ドーピング機構において、フェネチルアミンおよびその誘導体はドーピング禁止物質として指定されており、国内外のスポーツ大会におけるドーピング検査でそれらが検出された場合、アスリートに対し競技会の成績取消や一定期間のスポーツ活動禁止といった制裁が科されることがある。一方、死後一定時間経過した尿中には、腐敗性の細菌増殖によるフェネチルアミン等が産生されることが知られている。そのため、ドーピング検査時において採尿後の保管環境が劣悪であれば、尿中の腐敗細菌によるフェネチルアミンの産生に伴い偽陽性となる可能性があるが、現在アスリートの尿採取後の保管に関する明確な国際基準は定められていない。そこで、本研究ではヒト生体尿を用い、尿を冷凍(-20℃)、冷蔵(4℃)、室温(22℃)に一定期間保管し、フェネチルアミン検出の有無及びその検出にかかる時間や濃度との関連性について検討を行い、アスリートの尿検体の保管に関する基準作成の一助となり得る可能性を追究する。 今年度は、尿検体の前処理法について検討を実施した。前処理法には液-液抽出法と比し有機溶媒使用量の少ない固相抽出法を利用することとしていたが、固相抽出法よりもさらに有機溶媒を使用する量を抑えることが出来るQuEChERS法についても検討を行った。その結果、QuEChERS法を用いた方が簡便かつ有機溶媒使用量を最小限に抑えることが可能であったため、本研究ではこの前処理法を採用して実施することとした。また、昨年発表した先行研究(Drug Test Anal. 2023;15:701-705)の中で、尿検体中のフェネチルアミン濃度測定にあたりLC-MS/MS分析条件を確立することが出来たことから、本研究においても先行研究の方法を参考に、分析法のバリデーションを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は所属する研究機関において、法医解剖業務や鑑定業務が急増したことで、本課題研究に従事する時間が慢性的に不足し、分析法のバリデーション確立は行うことが出来たが、尿検体中フェネチルアミン濃度測定の実施にあたり、保管温度毎の経過時間に関する検討を行うことが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
尿中フェネチルアミンの濃度測定にあたり、冷凍(-20℃)、冷蔵(4℃)、室温(22℃)の3パターンに配置して尿検体を容器に保管し、尿中細菌の影響が生じない限度とされる4時間後から1-2時間ごとにフェネチルアミンの検出の有無を確認する。さらに1日後から7日後まで同様に6つのサンプルについて尿中フェネチルアミンの濃度を測定する。個体差もあることを鑑み、それぞれのn数は4以上とする。それらの分析結果をもとに、各設定温度についてn=4以上で測定した尿中フェネチルアミン濃度の平均値を縦軸、各容器に入れてからの経過時間を横軸としてグラフを作成し、それらの相関関係について解析・評価する。なお、腐敗過程がある程度の期間(7日後)を経てから検出された時は、さらに放置期間を延長し、最大28日間まで尿中フェネチルアミン濃度の測定を行う。また、ドーピング検査の検体は尿のみならず血液試料を用いて行うことから、血液試料についても同様の実験方法を用いて検討する。
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