世界アンチ・ドーピング機構において、フェネチルアミンおよびその誘導体はドーピング禁止物質として指定され、ドーピング検査でそれらが検出された場合、アスリートに対し制裁が科されることがある。一方、死後一定時間を経過した尿中には、腐敗細菌増殖によるフェネチルアミンが産生される。そのため、採尿後の保管環境が劣悪ならば、尿中腐敗細菌によるフェネチルアミン産生に伴いドーピング検査で偽陽性となる可能性がある。 本研究ではヒト生体尿を用い、尿を冷凍・冷蔵・室温下で一定期間保管し、フェネチルアミン産生にかかる時間と濃度との関連性について検討することで、アスリートの尿検体の保管基準確立の一助となる可能性を追究する。
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