研究課題/領域番号 |
23K10696
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
青柳 健隆 関東学院大学, 経済学部, 准教授 (80772970)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | コーチング / 自己理解 / 自己一致 / 指導者養成 / 心理サポート / スポーツ教育 / パーソナルコーチング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、「受け手の目標達成に向け、対話によって気づきや学び、自発的な行動を引き出す関わり方」であるパーソナルコーチングが、アスリートに対してどのように作用し、どのような効果をもたらすかを探索・検証することを目的としている。そのために、パーソナルコーチングを受けた経験のあるアスリートを対象としたインタビュー調査を行い、受けてみてどのような変化を感じたかを聞き取ったり、実際にアスリートにパーソナルコーチングを受けてもらい、その前後でどのような変化があったのかを統計的に比較分析する研究を計画している。
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研究実績の概要 |
パーソナルコーチングとは、「受け手の目標達成に向け、対話によって気づきや学び、自発的な行動を引き出す関わり方」を指す。従来的にスポーツ指導で多見される知識や技術・戦術の伝達とは大きく異なるが、ビジネス領域などでは自己効力感、目標達成、レジリエンス、Well-Being、ストレス、キャリアや仕事への満足度、自己認識、仕事のパフォーマンス、リーダーシップ、コミュニケーションなど様々な側面への効果が確認されている。しかし、パーソナルコーチングのアスリートへの適用についてはほとんど研究がなされていない。 本研究課題全体の目的は「パーソナルコーチングはアスリートに対してどのように作用し、どのような効果をもたらすかを探索・検証すること」である。初年度はまず、パーソナルコーチングを受けた経験のあるアスリート14名へのインタビュー調査を行い、アスリートに対するパーソナルコーチングの作用およびその作用プロセスを探索した。質的分析の結果、パーソナルコーチングは行動面や心理面、パフォーマンス、競技成績に影響を与えている可能性が示唆された。また、人間的成長やセルフコーチングおよび他者指導への応用、キャリアデザインの進展などの副次的な作用も確認された。本結果は、今後の定量調査においてどのような指標や尺度を用いるか、またどのような作用モデルを検証すべきかの足掛かりとなる成果である。 もうひとつの成果としてカードゲームの開発がある。パーソナルコーチングは経済的・時間的なコストや体験的理解の難しさなどから、その実践・学習・普及に課題を有している。開発したパーソナルコーチング実践教材「雲とりゲーム」とパーソナルコーチング体験ツール「雲とりゲームLite」はわかりやすさや導入しやすさ、楽しさなどを備えており、研究成果のアウトリーチや社会実装への貢献が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初期段階の研究であるアスリートへのインタビュー調査については分析や論文化の作業がやや遅れている。しかし、それは当初の計画よりも対象者が増えたことや、アスリートだけではなくコーチにもインタビューを行ったことなど、調査の充実に伴うものであったため特段問題視はしていない。 一方で、カードゲーム(パーソナルコーチング実践教材)の開発において想定以上の進展があった。アウトリーチ活動に伴う肯定的な反響も得られており、今後の研究やさらなるアウトリーチの検討材料が集まってきている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に実施した質的研究の成果を仮説モデルとし、横断調査および縦断調査を企画・実施する。詳細な調査表設計や研究デザイン、倫理申請、サンプリングと順を追って取り組む計画である。 一方で、プロのパーソナルコーチとアスリートの1対1の対面コーチングセッションは経済的にも時間的にも非常に高コストである。開発したカードゲームを用いて、またはさらなる改良を経て、パーソナルコーチングの作用を低コストで多人数に対して発現させることのできる方策についても引き続き検討を進めていく。
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