研究課題/領域番号 |
23K10705
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 広島経済大学 |
研究代表者 |
渡辺 泰弘 広島経済大学, 経営学部, 准教授 (30611610)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | コミュニティ / インクルーシブ公園 / スポーツ施設 / コミュニティ創出 / 価値共創 / 安心・安全対策 / サービス |
研究開始時の研究の概要 |
スポーツ施設を価値創造の「場」と捉え、施設利用者を単にサービスを消費する存在としてではなく、利用者の安心・安全やサービス、新しいアイディアの創出など、価値創造プロセスのパートナーとして捉える。そして、利用者と維持管理・運営側双方の視点も考慮した価値共創によるコミュニティ創出に向けた施設の役割を検討する。現場レベルでは、地域住民への安全・安心の保障が担保され、利用の増加、災害時の避難所としての役割、新たなコミュニティの創出などが期待できる。政策レベルでは、政策立案時におけるスポーツ施設を中心としたまちづくりの可能性を安心・安全の視点から施策の立案も可能となる。
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研究実績の概要 |
2023年度は、先駆的な都市公園等の整備を実施している自治体および指定管理者、利用者へのインタビュー調査ならびに現地視察を実施し、安全・安心に向けた利用者と維持管理・運営者の価値共創を通じたコミュニティ創出の過程を探った。具体的には「施設の充実」、「サービスの充実」、「管理の充実」それぞれの視点について、利用者(地域住民)、維持管理・運営者、設置者(自治体)との間でどのようなネットワークが構築されているのかを、インクルーシブ公園の事例を通じて検証した。対象は、東京都が管理する公園および区部が管理する公園であった。なお、公園を対象とした理由は、地域住民が気軽に集う場所であるため、本研究の目的であるスポーツ施設を拠点としたコミュニティ創出に向けたアイデアの構築に寄与すると考えたからである。 公園を整備する時点で、利用者となる地域住民へのヒアリングや会合等を実施しているものの、公園がオープンしてからは、常に利用者のニーズが変化することを考慮すると、地域の声を活かす即効性が必要である。ここに公園の維持管理、発展の困難さが垣間見られた。多くの公園やスポーツ施設に共通することであるが、場の整備であるハード面は、自治体として整備を行う。しかしながら、ソフト面の整備・充実については、地域住民である利用者次第であるため、行政と地域住民による共創を目指すには、常に双方のコミュニケーションが欠かせないことが確認された。 創出されたコミュニティを維持し、地域の繋がりを創出することで地域のマナーや安全の保障につながると考えられる。昨今、社会との接点が薄れる時代において、地域住民で地域の子どもを育てることが、地域への愛着を芽生えさせる大きな手掛かりとなる。公園を通じたコミュニティの形成には、多世代の交流が必要不可欠であり、スポーツ施設にも通ずるものがある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査協力を得られた施設の維持管理・運営者、施設利用者(地域住民)へのインタビュー調査、フォーカスグループインタビュー、行動観察などの質的調査を実施することができた。さらに、米国(ロサンゼルス)の都市公園やスタジアム、アリーナ等の視察を実施し、事例的ではあるが、国内と国外における利用者と管理・運営者のコミュニケーション過程の考察を進めることができた。 これらの事例調査をもとに、広島県の山間部地域におけるスポーツ施設を拠点としたコミュニティ創出を検討している自治体において、地域住民とスポーツ施設の維持管理を行っている団体への情報提供およびディスカッションを実施することができた。人口減少が進む中、「周辺の住民が集う、みんなで賑わいを創出できる環境づくり、10年後、20年後、30年後も人が集まるコミュニティ創出が急務である」、「これまでは地域の声というよりは、行政主導による施設・公園整備が行われてきた。これからは地域住民の声を中心に、待ちの姿勢ではなく積極的に仕掛ける必要がある」、「自由に意見を言える、未来を語ることができるきっかけが必要である。マンネリ化を招くと必ず人が来なくなる。地域住民も関心がなくなり、足が遠ざかる」、「仕組みづくりが必要であり、それには地域住民の関わりが大前提である。しかしながら危機感を持った人が少ない現状がある」など、危機感を感じる意見が多く出された。プロスポーツの拠点を名目としたスタジアム/アリーナ整備が進められる昨今、多くの地域住民にとっては、日常的に地域住民が気軽に集うことのできるスポーツ施設のソフト面の再整備が重要と考えるきっかけとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に実施した事例調査をもとにして、2024年度は、施設の利用者(地域住民)、施設の維持管理・運営者へのオペレーションに関わる量的調査を実施することで、双方のギャップを量的な視点から検証する。そして、スポーツ施設を拠点としたコミュニティ創出を検討している自治体において、地域住民とスポーツ施設の維持管理を行っている団体とディスカッションを試みることで価値共創の過程を探る。
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