研究課題/領域番号 |
23K10712
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
張 潮 福井大学, 学術研究院工学系部門, 講師 (70803419)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 人物動作分析 / 深層学習 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、AIによる人物の動作理解・予測に関する手法が多く提案されている。動作データのような時系列データを処理するために様々な手法がある。これらの手法は目の前で起きたことから次に起こりそうなことを前後関係に従って予測することが可能であるため、時間の制約を受ける人物動作予測の問題に適している。しかし、決定論的な人物動作予測モデルの問題点としては、短期予測(0.5秒未満)では有望な結果を得られるが、長期予測(1秒以上)では苦戦を強いられるのが現状である。本研究では、独自の動作予測法を基に、事前のデータ収集を必要としない、リアルタイムで継続的に学習可能な動作予測AIモデルの実現を目指している。
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研究実績の概要 |
近年、深層学習による人物の動作センシング・理解・予測に関する手法が多く提案されている。既存手法を用いた決定論的な人物動作予測モデルの問題点としては、短期予測では有望な結果を得られるが、長期予測では苦戦を強いられるのが現状である。その原因は、人間の動作は本質的に確率的なプロセスであり、予測された1つの動作は、将来起こりうる複数の動作につながる可能性があるためである。この問題に対し、本研究では、ニューラルネットワークの一種である混合密度ネットワークを用いた独自の混合動作予測法を基に、事前のデータ収集を必要としない、継続的に学習可能な動作予測AIモデルの実現を目指している。
そのため、今年度は、主に「制御可能な人体動作予測のための分離表現の学習」および「人物向きを考慮した脚の動作学習」を提案した。制御可能な人体運動予測により、過去に観測された動作シーケンスに基づいて、部分的な身体の動きを制御しながら、将来の複数の人間の動きを予測することができるようになった。また、自然な人間の動作遷移は、向きの変化に対応するために現実的な脚の動きを取り入れるべきと考えており、向きの変化を考慮することで、より自然な動作遷移を実現できた。さらに、関連する最適化アルゴリズム、学習モデルなどを複数提案した。これらの研究成果について、ジャーナル論文6編、国際会議5編を発表した。以上が今年度行った本研究についての報告である。
さらに次年度の計画として,教師なし学習法の検討および自己教師あり学習の導入に取り組む.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究では、新しい動作分離フレームワークの下で、制御可能な人体動作予測を実現した。提案ネットワークは、現実的な人間の動きをモデル化し、1回の学習で、所望の身体部位の制御を実現できた。また、サンプリング手法を拡張し、事前学習されたデコーダに適応することで、予測の多様化を実現できた。さらに、入力を柔軟に設計することにより、人間の動作予測における他の制御形態(例えば終了ポーズの制御)にも寄与することが可能になった。実験により、提案手法が制御可能な人体動作予測において最先端の性能に達成することが定性的、定量的に実証された。また、行動条件付き確率的人体動作予測の課題に対して、遷移学習に着目した新しい解決策を提示した。これには、脚の動きに対する考察を含めた。具体的には、指定された動作ラベルを持つターゲット動作を予測し、次に、必要とされる脚のダイナミクスを具体的にモデル化するための中間動作を生成することで、動作予測タスクを2つに分割できた。3つの人体動作データセットを用いた実験により、提案手法が人体動作の中間生成と予測において最先端の性能に達成することを定性的かつ定量的に示した。これらの研究の成果について,ジャーナル論文6編、国際会議5編を発表しており,次年度以降の研究にとって重要である。以上の理由から、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に開発したモデルをさらに改良し、学習データへの依存度を低減する。自己教師付き学習は、入力のある部分を別の部分から学習するようにモデルが自己学習する機械学習プロセスであり、これを用いることで、動作ラベルを自動生成することが可能になり、教師なし問題を教師あり問題に変換できる。さらいに、可視化モデルを利用し、被験者の交代やシーンの切り替えに対応するために継続学習のスキームの導入を目指す。過去の動作データを継続的に蓄積し、さらに前の段階における学習済のネットワークが出力したデータを継続学習時の追加データとあわせて学習することで、AIモデルの破局的忘却に対処する。また、今年度の残りの成果をまとめ、国際会議やジャーナルで順次発表を行っていく予定である。
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