研究課題/領域番号 |
23K10741
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
梁 楠 京都大学, 医学研究科, 教授 (70512515)
|
研究分担者 |
稲富 宏之 京都大学, 医学研究科, 教授 (10295107)
入江 啓輔 京都大学, 医学研究科, 講師 (50792264)
兼重 美希 京都大学, 医学研究科, 助教 (40867868)
山脇 理恵 京都大学, 医学研究科, 技術職員 (60975093)
小金丸 聡子 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (40579059)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 複合現実 / 仮想現実 / 運動パフォーマンス / 中枢神経系 / リハビリテーション / 運動学習 / 経頭蓋磁気刺激法 |
研究開始時の研究の概要 |
複合現実(Mixed reality, MR)に関する研究はまだほとんどなく,MRがもたらす身体運動の効果やそれに伴う中枢神経系の興奮性変化について明らかではない.本研究はMR技術を利用して,対象者の身体状態を正確に捉えたうえで,その使用に伴う運動パフォーマンスの変化や大脳皮質の活性化を明らかにすることである.また,感覚フィードバックすることで運動機能の改善や運動学習効果の促通,それに伴う大脳皮質の興奮性変化について検討し,リハビリテーションの臨床における効果的な応用を目指す.
|
研究実績の概要 |
本研究の主な目的は,仮想現実や拡張現実を融合した複合現実(Mixed reality, MR)と言われるバーチャルな空間における身体状態を正確に捉え,運動に伴うパフォーマンスの変化および大脳皮質の活性化を明らかにすることである.初年度では,運動様式の違いによって中枢神経系の興奮性変化について検討した.具体的には,運動の視覚的フィードバックが伴う動的運動と,視覚的フィードバックが伴わない静的運動について,注意の焦点化(外的焦点,external focus, EFと内的焦点,internal focus, IF))を変化させることで皮質脊髄路の興奮性変化および皮質内神経回路の興奮性変化に違いが生じるかについて,経頭蓋磁気刺激(transcranial magnetic stimulation, TMS)および末梢神経電気刺激を用いて実験を行なった.その結果,単発TMSでは,主動筋から記録した運動誘発電位の振幅は各時期において動的運動ではIF条件よりEF条件の方が有意に大きかったが,静的運動ではFOA条件間で差がなかった.F波の振幅値と出現率はFOA条件または運動様式間で差がなかった.二連発TMSでは,筋活動開始直前において皮質内抑制はFOA条件または運動様式間で差がなかった.一方,皮質内促通は動的運動においてIF条件よりEF条件の方が増大量が有意に大きかったが,静的運動ではFOA条件間で差がなかった.動的運動においてのみ皮質脊髄路の興奮性と皮質内促通の増大量に有意な正の相関がみられた.本研究で得られた知見は,MRを介した今後の実験課題設定に活かすことができる. それと同時に,MR環境やVR環境における上肢や手のパフォーマンスの評価,座位・立位で課題遂行する際のバランスや大脳皮質の興奮性といった客観的な指標に加え,主観的指標や臨床で使用されている評価バッテリを用いて,それらの関連性について調べている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は,MR機器を用いて実験を行なう際の課題設定について主に検討を行なった.運動課題遂行時の視覚性フィードバックの有無,あるいは注意の焦点を変更することによって,皮質脊髄路および大脳皮質内神経回路の興奮性に違いが生じることが分かった.それと同時に,実際の実験環境,設定,大脳皮質の刺激パラメーターの同定,再現性の確認などを行なうことができた.一方,MR機器やVR機器を用いて上肢・手のパフォーマンスの評価,ならびに近赤外分光法を用いて大脳皮質の興奮性を評価を試みており,主観的な評価との関連性を導き出しつつあり,まだ実験を重ねる必要がある.研究結果の一部については論文発表および学会発表しており,研究はおおむね順調に進められていると判断している.
|
今後の研究の推進方策 |
初年度は運動課題の設定および中枢メカニズムについて検討することができた.次年度は,MRおよびVR環境における運動課題の作成を進め,運動パフォーマンスの評価および大脳皮質の評価を進める.また,生理学的指標と同時に妥当な主観的指標について検討し,それらの関連性の詳細について調べる予定である.さらに,MR・VR環境におけるデュアルタスクの影響について,シングルタスクと比較することで運動パフォーマンスおよび中枢神経系の興奮性変化を明らかにしていく予定である.
|