研究課題/領域番号 |
23K10751
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
|
研究機関 | 岐阜聖徳学園大学 |
研究代表者 |
稲垣 良介 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (20583058)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 水難事故防止 / 未然防止 / 水泳の事故防止の心得 / 水難事故 / ライフジャケット |
研究開始時の研究の概要 |
水難事故は、水難者に対する死者・行方不明者の割合が著しく高く、生命に直結する重大 事故につながるケースが多い。また、中学生以下の死者・行方不明者の場所別構成比は、不確定要素の多い自然水域が87%を占める。水難事故に対しては、未然に回避することによって発生件数そのものを逓減させることが対策として重要であると考えられるため、その研究及び授業開発を進めることが喫緊の課題である。申請者は、科研費研究から「水泳の事故防止の心得」及び「ライフジャケット教育」が水難事故の未然回避能力を育成する有効な教育内容となることに着目し、学習プログラムを開発する。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、水難事故に対するリスクマネジメント能力の育成を企図した学習プログラムを開発することである。本年度の主な研究成果は、下記の通りであった。 ①中学校を対象に、河川での実習授業を実施し、水難事故防止に関する意識に及ぼす影響と持続性を検討した。行動意図に影響を及ぼす要因と心構え(自由記述)について授業前後の比較分析を行った。ぞの結果、脅威への脆弱性と驚異の深刻さには授業の直後に効果がみられた。しかし、8か月後には、それらの効果は残存しなかった。授業直後の自由記述には、川の環境について具体的に記されていた。授業の効果は認められるが、それらを持続させることについては今後の課題となった。②冷水に浸かった状態で首を手で覆うことが体温の喪失を減少させるか明らかにすることを目的とした。大学生15人を対象にプールでHELP技術を採用した状態で浮かぶように指示した。7人が首を覆い、8人が首を覆わなかった。全員が1時間水中に留まった。消化器温度と脇の下周辺の体温を測定した。分析の結果、首を手で覆うことは首からの熱損失を減らすこと、脇の下からの熱損失が増加することが明らかになった。深部体温は2つのグループ間で類似していた。③水難事故から身を守る上で重要なリスク要因への意識を高めるために、48人の中学生を対象にリスクコミュニケーションモデルとAnalysis, Design, Development, and Evaluationモデルを使用してプログラム実施前、実施後、実施後5ヶ月の3時点の調査を実施した。分析の結果、河川という自然の水域で実施した実践的なプログラムは、生徒の水辺の安全への意識を向上させ、水難事故を防止するのにプラスの効果がある可能性があることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、「ライフジャケット」「水泳の事故防止の心得」に関する学習内容を構築し、自然水域及びプールでの実習授業とその事後指導の授業を設計し、指導効果を検証するという点にオリジナリティがある。当該年度は当初計画通り、学習内容を設計するための資料を収集に成功し、その概要は上に報告した通りである。また、A小学校において実施した河川での水難事故防止学習後のデータについては、現在分析中であり、学会誌上に研究成果として公表する予定である。以上の理由から。進捗状況の区分は「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度に検証した学習プログラムの効果、課題を踏まえ、内容を改善して小中学校でのパイロット授業を実施する。これらの授業の設計、実施及び評価と並行して、引き続き「ライフジャケット」「水泳の事故防止の心得」に関する学習内容に関する資料収集と整理・分析を進める。研究成果の一部は、日本体育・スポーツ・健康学会他で報告する予定である。
|