研究課題/領域番号 |
23K10755
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
中谷 敏昭 天理大学, 体育学部, 教授 (60248185)
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研究分担者 |
灘本 雅一 桃山学院教育大学, 人間教育学部, 教授 (10712846)
寺田 和史 天理大学, 体育学部, 教授 (40454798)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 高齢者 / 視覚情報 / 身体感覚情報 / 不一致条件 / 感覚入力 / 重みづけ / 映像刺激 / 姿勢制御 / 固有感覚 / 重心動揺 / 不一致訓練 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,①視覚映像を用いた不一致課題の確立,②不一致課題が若者の姿勢制御に及ぼす影響,③不一致課題が立位姿勢制御の加齢変化に及ぼす影響,④不一致課題とバランス運動による感覚の再重みづけを検討する.最終年度は,⑤高齢者の不一致刺激訓練による感覚の再重みづけが姿勢制御を改善するとした仮説について検証を行い,学会大会や論文として成果を公表する.本研究の遂行により,加齢に伴う姿勢調整を視覚依存から体性感覚依存に感覚入力の再重みづけを行う方策から,姿勢制御を変化させることで転倒予防につなげる訓練法の一助とすることが期待できる.
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研究実績の概要 |
本年度は、視覚映像と身体感覚の不一致条件を探るためピッチ、ヨー、ロール条件での屋外映像を作成し、足圧中心(CoP)動揺に及ぼす影響とともに、映像酔いや転倒リスクの有無を調査した。対象者は健常な女子学生15名(21.9±0.5歳)とした。視覚映像は各条件ともスマートフォンの録画機能を用い、揺れ周波数を0.40~0.45Hz、揺れ角度20~25度で記録した。対象条件としてピッチ映像の静止画を視聴させた。実験デザインはクロスオーバー比較試験とし、ピッチ、ヨー、ロール、静止画の4条件をヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)を用いて無作為に視聴させた。HMD装着による視聴時の姿勢制御への影響は、ロンベルグ姿勢(直立閉足位)による30秒間のCoP動揺(外周面積、単位軌跡長、単位面積軌跡長、総軌跡長)で評価した。各条件における測定値の信頼性は7~10日間隔で再テストを行い、有意差と級内相関係数を検討した。各条件における測定値の差は、対応のある一元配置分散分析を用い、主効果が認められた場合は多重比較検定を行った。 測定の結果、すべての映像条件ともCoP動揺測定時に映像酔いや踏み出し等を生じさせることはなく、危険性はなかった。視覚映像によるCoP動揺の再テスト結果では、すべての条件とも有意差はなかったが、級内相関係数が0.7を超えたのはピッチ条件のみであった。映像視聴によるCoP動揺への影響では、単位軌跡長と総軌跡長に有意な主効果を認め、静止条件に比べてロールとヨー条件で動揺が大きくなった。外周面積と単位面積軌跡長には各条件で差は認められなかった。以上のことから、HMD装着による視覚映像刺激では、ピッチ条件が安定して姿勢制御に影響を与え、身体感覚との不一致を大きく生じさせる実験条件であることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
刺激映像の検討に少し時間がかかったため、若年者を対象とした姿勢制御の感覚入力への影響について、現在は固い床条件と柔らかい床条件(マット上)の測定にとどまっている。現時点では、感覚入力の重みづけを評価できるmCTSLBテストによる影響を検討する予備実験は終了しており、2年目に後れを取り戻すことは可能と考える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、若年者を対象としてHMD装着による視覚映像刺激が感覚入力に及ぼす影響を検討するとともに、中高年齢者を対象とした不一致映像(ピッチ・ヨー・ロール条件)の映像酔いや踏み出し等の安全性と姿勢制御への影響を検討する。
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