研究課題/領域番号 |
23K10757
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
木塚 朝博 筑波大学, 体育系, 教授 (30323281)
|
研究分担者 |
小野 誠司 筑波大学, 体育系, 教授 (70754753)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
|
キーワード | 反応時間 / 触覚刺激 / 聴覚刺激 / 視覚刺激 / 全身反応時間 / マルチモーダル刺激 / 感覚運動機能 |
研究開始時の研究の概要 |
スポーツにおいて、球技や対人競技では視覚入力に、陸上や水泳のスタートでは聴覚入力による反応時間の短さ、反応動作の素早さがパフォーマンスを決定する上で重要となる。一般に感覚運動系の特徴として、視覚や聴覚刺激による反応は、触覚刺激に比べ時間が遅延すること、中枢神経系において複数の感覚が統合されると 反応時間が短縮されること(促通効果)が知られている。しかし、これまでの研究において、感覚刺激による促通効果が全身反応機能に及ぼす影響を実証した例はない。そこで本研究は、複数の感覚刺激を組み合わせるマルチモーダル刺激が全身反応時間の短縮に及ぼす効果を検証する。
|
研究実績の概要 |
スポーツにおいて、球技や対人競技では視覚入力に、陸上や水泳のスタートでは聴覚入力による反応時間の短さ、反応動作の素早さがパフォーマンスを決定する上で重要となる。さらに触覚刺激が加重されることが、反応の促通効果をもたらす可能性もある。一般に感覚運動系の特徴として、視覚や聴覚刺激による反応は、触覚刺激に比べ時間が遅延すること、中枢神経系において複数の感覚が統合されると 反応時間が短縮されること(促通効果)が知られている。また、競技特性や長期間のトレーニング経験により、反応に対する感覚情報の優位性が異なることも示唆されている。 しかし、これまでの研究において、感覚刺激による促通効果が全身反応機能に及ぼす影響を実証した例はない。そこで本研究は、複数の感覚刺激を組み合わせるマルチモーダル刺激が全身反応時間(反応時間の短さとしての筋活動開始時間)の短縮に及ぼす効果を検証することを目的とし、さらに、単一刺激に対する随意的な全身反応動作(動作の素早さとしての筋収縮時間を含めた動作開始時間)を向上させるトレーニング法の開発を目指す。 初年度は、反応動作中に振動刺激(振動子)によって皮膚表在受容器を刺激し、視覚・聴覚刺激と組み合わせることで感覚入力を重畳させた場合の反応時間を測定し、多感覚環境においてどの感覚に依存した優位性があるのかを各競技者グループで検証した。 また、競技特有の視覚映像刺激に対する複数選択反応課題を実施し、正確性を担保しながら素早い反応動作を遂行しなければならない状況下において、誤反応および尚早反応の出現率、適切な反応時間などの反応戦略を競技レベル間で検証した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定した多感覚環境においてどの感覚に依存した優位性があるのかを各競技者グループで検証した結果、競技レベルに関わらず視覚刺激に対する感覚優位性が認められた。 一方、正確性を担保しながら素早い反応動作を遂行しなければならない状況下においては、競技レベルが高いと、誤反応および尚早反応の出現率が低く、早過ぎず遅過ぎない適切な反応戦略を有していることが認められた。ここまで本研究課題における基礎的知見を得るための活動は比較的順調に進展している。 今後は、多感覚環境をより複雑にし、視覚刺激に対する感覚優位性の頑強性を競技レベル間で比較し、さらに競技レベルを多様化させた検討を開始している。 その際、フォースプレート、加速度センサーなどによって実際の動作を模擬した反応時間を測定し、同時に筋電図から筋活動開始時間および筋収縮時間などを計測することで、中枢神経系に基づく感覚認知機能および末梢神経系機能を含む反応時間の要素について検討する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度に購入した多チャンネルAD変換装置を用いることによって、触覚、聴覚、視覚の3刺激同時提示を含めたマルチモーダル感覚の組み合わせを複雑化させ、各種競技種目における実際の動作を模擬した反応時間をフォースプレートや加速度センサーなどで測定できるようになった。また、視覚映像刺激や各計測パラメータさらに複数部位からの筋電位など、多様な信号を同期させ効率的に分析することが可能になった。 この実験環境を活かして、視覚刺激に対する感覚優位性の頑強性を詳細に検討したり、触覚、聴覚の重みづけを検討する予定である。さらに、感覚認知機能および末梢神経系機能を含む反応戦略の違いを、多様な競技レベル間で比較する予定である。
|