研究課題/領域番号 |
23K10789
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
田中 愛 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (10508534)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 学び捨て / 他者 / インクルージョン / 能力差 / 格差 / 貧困 / 障害 / 身体 / 能力 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「スポーツ教育を含む身体教育における多様性とは何か」、そして「それにかかわる教育実践とは何か」という問いをベースとし、次のように研究を進める。まず、「多様性」および「共生」の概念に関する歴史・社会・思想的背景からこれらの概念を捉え直す。次に、「多様性」に起因する「不平等」や「格差」などの社会問題に対して最前線で取り組む実践者からの情報収集を行い、先の理論的考察と突き合わせて問題解決の手立てを探る。また、既に実践されつつあるスポーツ教育活動の実態を把握し、改めて身体教育およびスポーツ教育において、多様性の尊重や共生社会に結びつくような教育実践はどのようなものであるべきかを議論する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、多様性の尊重および共生社会実現のために、身体教育およびスポーツ教育の領域においてその実現を図るための理論的基盤を準備することである。そのために、「いかに」すなわち「方法」を索定する以前の、「身体教育およびスポーツ教育において多様性を尊重するとはどのようなことか」そして「共生社会とはなにか」についての議論が必要となる。 この目的に基づいて、初年次には以下3点を計画した。(1)「多様性」・「共生」に関する歴史・社会・思想的背景を明らかにし、児童・生徒はそれらについての何を学ぶ必要があるかについて議論する。(2)「多様性」・「共生」という語の使用について、誰が、どのような問題意識によって、どこで用い始めたかを含め、歴史的、社会的なルーツを辿る。(3)社会や文化のありよう、とりわけ、差別や排除の問題との関係を視野に入れた考察を、文献収集と理論的検討により行う。 上記計画の(1)から(3)に対応する形で、以下(1)から(3)の成果が得られた。(1)保健体育教師が多様性を尊重するとはどういうことかについて、著書の分担執筆を行った。(2)本テーマの近接領域であるアダプテッド・スポーツ領域の研究者と意見交換を行い、その議論をベースとしてフォーラムにおいて講演および参加者とのディスカッションを行った(スポーツ哲学から見たインクルージョンについて)。(3)近年「共生学」の中で着目されている「差別」およびその「学び捨て」についての理論研究を行い、研究会において発表を行った。 次年度は、理論研究を引き続き実施しつつ、児童・生徒の身体に現れている多様性のうち、不平等を引き起こす問題とはどのようなものであるかについて教育現場での実態を把握する活動を行いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記述したとおり、初年次に計画していた理論的な検討を進めるため、文献収集や近接領域の研究者とのディスカッション、研究会を開催することができたことは計画通りであると評価できる。インタビューや情報交換の機会は当初見込み数を下回ってはいるものの、次年度以降にも協力を得られる見込みであるため継続して計画していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目は、以下の3点を実施する。 (1)初年に実施した理論研究を継続し、研究会や学会での発表・ディスカッションを経て原著論文を投稿し、より多くの研究者と議論できる機会を作る。 (2)教育現場において、多様性と共生に関して何が問題となっているのか、より具体的に検討するために実態を把握する。その際、児童・生徒の身体に現れている多様性のうち、不平等を引き起こす問題とはどのようなものであるかに着目する。このことについては、「不平等」や「格差」に起因する社会問題に対して最前線で取り組む実践者の方々からの聞き取り調査も実施する予定である。 (3)多様性の尊重および共生社会実現に関するスポーツ教育活動の実態を把握する。具体的には、パラリンピック教育の実際について、教員およびプログラム提供側(パラアスリートや関係する講師)に対する聞き取り、学校および授業への参観を含め、情報を収集し、どのような理念のもとに普及活動が行われているか明らかにする。
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