研究開始時の研究の概要 |
「医薬品」の取り扱いについては,2012年から実施の学習指導要領で初めて取り上げられた.しかし,「医薬品」に関する授業内容の十分な検証はなされていない.さらにオーバードーズ(以下OD)やコロナ対応ワクチンの創薬等の医薬品を取り巻く現代的な諸課題に対応していく必要がある.中学校教育において「医薬品」に関する10年間の授業実践状況を検証しつつ,現代的な課題への対処法等を取り入れた新しい保健授業の構成,実践,検証を行うことが求められている. そこで,本研究では保健分野「医薬品の正しい使い方」を対象とし,OD等の現代的課題に対応するための新しい授業を構成,実践し,その有効性を検証することを目指す.
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研究実績の概要 |
「高等学校の保健に関する知識の認知度に関する研究 -中学校保健体育分野「医薬品」に関する現代的課題に対応した授業構成の実証研究の一環として-」と題して、本年度の活動を以下のようにまとめた. 本研究では,保健分野「医薬品の正しい使い方」を対象とする.オーバードーズ(以下OD)等の現代的課題に対応するための新しい授業を構成,実践し,その有効性を検証することを最終目標とする.今回は,その第一報として,「医薬品」を含めた,高校段階での保健の知識の認知度を調査し,2012年度からの「医薬品」に関する授業を通してのその定着度を調べることとした. 2021年以降,新しい学習指導要領が全面実施され,保健の内容として「医薬品は正しく使用すること」の理解と実践が求められている.この「医薬品」の取り扱いについては,2012年から実施の旧学習指導要領でも取り上げられた.しかし,「医薬品」に関する授業内容の十分な検証はなされてこなかった.そこで,中学3年間及び高校3年間で学習してきた保健の内容について,現在の大学生1年生を対象に,どの程度の把握状況(認知度)にあるのか, 38項目からなるアンケート調査を実施した. その結果,生活に密接に関係する項目については,高い認知度が認められた.一方,健康や疾病に関する項目については,低い認知度であることが示唆された.その中で,「医薬品」の項目については,「薬物乱用」の項目同様,今日的な課題である市販薬のオーバードーズ問題等もあり,ある程度の認知度が認められた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高等学校での「医薬品」に関する知識の定着度についてアンケート調査し,大学の論集に投稿し,まとめとした. また,都内の国立大学附属中学校で,「医薬品」に関する模擬授業を行い,その前後で意識調査を行い,プレデータを取得することができた.
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今後の研究の推進方策 |
プレデータの分析を進め,模擬授業やアンケート調査内容を見直し,授業構成の修正を行う.修正した授業を,多くの中学校で実施,授業前後でのアンケート調査を行い,定着度を確認していく. 模擬授業を行うために,授業対象校を開拓することを,研究分担者と協調して実施する.さらに,アンケート調査の分析方法等を,分担者と情報収集,検討継続する.
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