研究課題/領域番号 |
23K10795
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 大阪河崎リハビリテーション大学 |
研究代表者 |
大篭 友博 大阪河崎リハビリテーション大学, リハビリテーション学部, 講師 (80584755)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 経頭蓋電気刺激 / 脳波 / 姿勢制御 / 運動制御 / 大脳皮質 |
研究開始時の研究の概要 |
外界からの感覚入力は重心動揺に大きな影響を与える。健常なヒトの場合、日常生活の中で起こる急速な感覚入力様式の変化に応じて、運動を意識的に補正するための命令を出力している。しかしながら、この多様な感覚入力変化に適応して運動を制御する共通の神経基盤は明らかにされていない。本研究では立位バランス制御中に感覚入力を変化させ、重心動揺と各種脳波成分の時系列的変化を調べることで、重心の意識的補正に関わる脳波成分を特定する。さらに、経頭蓋交流電気刺激法 (tACS) を利用した外部からの電気刺激によって、これらの脳波成分を人為的に誘発し、感覚入力変化に適応するための神経活動であることを実証する。
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研究実績の概要 |
本研究では4種類の姿勢制御課題を用いて、重心動揺測定と脳波測定を同時に実施した。具体的には①開眼状態で両脚立位から片脚立位に変化する課題、②閉眼状態で両脚立位から片脚立位に変化する課題、③両脚立位で開眼から閉眼にする課題、④片脚立位で開眼から閉眼にする課題である。重心動揺の周波数解析の結果から、課題①、②、④の様に不安定姿勢に変化することで1-3 Hzの高周波成分の振幅が有意に増大することが明らかになった。一方重心が安定している課題③の場合は、閉眼しても高周波成分の振幅は増大しなかった。脳波解析の結果から、課題①、②、④では共通して前頭葉におけるθ波と頭頂葉におけるγ波の増加が観察された。課題③では先行研究と同様にα波の増加が観察された。さらに閉眼状態で増加するα波は姿勢制御が難化することによって抑制された。特に頭頂葉におけるγ波の増加は前述した重心動揺の高周波成分振幅の増加と有意に正の相関を示し、高い関連性があることが示された。重心動揺の高い周波数成分は感覚入力に伴って足関節の剛性を制御するためのフィードバック機構を反映したものであるとされる。このことから頭頂葉γ波は不安定姿勢における姿勢制御のフィードバックメカニズムに関連した大脳皮質活動であると考えられた。この結果は2024年にPeerJ誌へ掲載された。現在は特に頭頂葉γ波に注目し、本周波数相当の経頭蓋電気刺激を与えた場合に姿勢制御がどのように変化するかを調べている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に難易度の高い姿勢制御に関わる大脳皮質活動の特定には至っており、論文としても掲載されていることからこの点については良好な進捗が得られている。経頭蓋電気刺激については被験者の既往歴の調査が必要であること、小規模の実験を重ねることで期待した成果が得られるかどうかの小まめな検討が必要であり、若干ペースが鈍化しているが現在も引き続き被験者と実験データの収集を続けており、概ね予定通りに計画は進行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き経頭蓋電気刺激前後での姿勢制御能力の測定を実施する。
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