研究課題/領域番号 |
23K10798
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
東川 史子 広島大学, 病院(医), 主幹特任学術研究員 (70346534)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 炎症性腸疾患 / 潰瘍性大腸炎 / 腸内マイクロバイオーム / ディスバイオシス / メタゲノム解析 |
研究開始時の研究の概要 |
炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎とクローン病に分類される難治性疾患であるが、我が国では、産業の発達とともに、罹患者が急増してきた。炎症性腸疾患では、腸内マイクロバイオームが破綻し、その結果、免疫が正常に作動しなくなり、異常亢進した免疫細胞が自身の腸粘膜を攻撃することにより炎症が生じていると考えられているが、未だ、発症原因は明らかではなく、根治療法は存在しない。本研究は、潰瘍性大腸炎の発症原因の解明に向けて、患者の腸内マイクロバイオーム内の発症因子の探索を行い、腸内マイクロバイオームを正常化するプレバイオティクス・プロバイオティクスを見出すことを目的として実施する。
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研究実績の概要 |
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎とクローン病)は、従来は先進国特有の疾患と見なされていたが、欧米に続いて日本国内で患者が急増し、さらには後進国の発展とともに、それら地域でも増加してきており、今や世界的な疾患へと変化してきた。自己免疫疾患であるとされ、腸内マイクロバイオームの多様性が低下していることが疾患と関連しているという説が有力であるが、その多様性低下に至る機序や発症原因は不明で、根治療法は未だない。そこで本研究では、腸内マイクロバイオームの多様性低下のメカニズムの解明を目的としている。これまでの研究で実施した16S rRNAメタゲノム解析において、潰瘍性大腸炎患者と健常者のマイクロバイオームを混合培養すると、健常者側に特有であった菌種の多くが失われ、ディスバイオシスへと誘導される現象が認められた。そこで今回、患者と健常者の腸内マイクロバイオームを、様々な条件下で培養し、ショットガンメタゲノム解析を行ったところ、遺伝子レベルにおいても、健常者と比較して患者の腸内マイクロバイオームの多様性は低く、両者を混合培養することによって、健常者に特異的であった遺伝子が、より多く失われ、患者のマイクロバイオームの特徴に近づくことが分かった。中でも、Glycoside Hydrolases(GH)は健常者で高かったが、混合培養後は、ほぼ患者レベルまで低下したことから、潰瘍性大腸炎患者では、食物繊維の分解や短鎖脂肪酸の産生が低い可能性、かつ、患者のマイクロバイオームには、それらを誘導する何かが存在している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ショットガンメタゲノム解析により、多様性低下メカニズム解明につながる興味深い知見が得られており、次年度以降の研究の方向性も定まっていることから、順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度に実施したショットガンメタゲノム解析結果から、ターゲットを絞り、ディバイオシスに導く原因について特定を目指す。また、必要に応じて、患者及び健常者の腸内マイクロバイオームサンプルを追加取得する予定である。
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