研究課題/領域番号 |
23K10802
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
伊藤 崇志 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (80423119)
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研究分担者 |
村上 茂 福井県立大学, 看護福祉学部, 特命教授 (50740990)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 老化 / 抗酸化 / 含硫黄分子 / タウリン / 多臓器連関 |
研究開始時の研究の概要 |
タウリンは酸化数の多い硫黄原子を含むアミノ酸で、食餌からの摂取や肝臓での生合成によって生体中の高濃度が維持されている。本研究では、食餌性のタウリンが肝臓で抗酸化作用を有する超硫黄分子の生合成を高め、これが多臓器と連関することで薬理効果を発揮しているとの仮説を考えた。本研究では、タウリン摂取後の各組織中の転写産物および代謝産物の変動を解析し、加えて、疾患予防への有用性を検討する。
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研究実績の概要 |
①肝臓及び他臓器における含硫黄代謝物および代謝経路の解析 マウスにタウリンを飲水投与したのちに、肝臓及び多臓器における含硫黄アミノ酸並びに硫化水素、超硫黄分子の測定を試みた。タウリンを投与することで、肝臓中の硫化水素の増加が認められたが、蛍光プローブ「SSP4」を用いて超硫黄分子を測定した結果では、優位な変化は見られなかった。一方で、他臓器については、蛍光プローブ「HSip1」を用いて測定した場合、肝臓に比べて半分以下の低値を示し、脳や心臓において検出できなかった。したがって、別の方法を用いて測定を行うために現在準備を進めている。 当該年度予定していた培養細胞を用いた含硫黄代謝物の亢進メカニズムの解析については、下記の通りに病態モデルでの解析を前倒しで実施したため未実施である。 ②タウリンの肝臓における保護効果、含硫黄物質、抗酸化能の解析 マウスにタウリンを飲水投与し、四塩化炭素誘発肝硬変モデルに対する有用性を検討した。当初、タウリンの抗酸化作用が既報から予想されたことから、そのメカニズムとしてタウリン投与による硫化水素や含硫黄物質の増加がみられ、その結果として抗酸化作用が発揮されると仮説を立てて実験を行った。タウリン投与により、四塩化炭素による酸化ストレス増大は抑制された。一方で、硫化水素は、四塩化炭素投与で増加し、タウリン投与でも同様に増加が見られた。したがって、タウリンによる抗酸化作用が硫化水素の増加によるものかどうか、今のところは考察ができない状況となった。今後、阻害実験などの追加実験を実施する。 また、四塩化炭素モデルでは次年度以降に予定していた多臓器連関の実験ができないと考えられたことから、より軽微な病態モデルでの解析が必要と考え、D-ガラクトース誘発早期老化モデルにおいても、検討を行った。本モデルにおいては老化病変に対するタウリンの効果も解析することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タウリン投与後の硫化水素、含硫黄アミノ酸、超硫黄分子の測定を実施する予定であったが、超硫黄分子の測定や肝臓以外での硫化水素の測定が、使用したプローブの感度が足りないせいか、組織サンプルの調整がよくないのか、原因はわからないが、うまくいかなかった。現在、別の方法での検出を目指しており、この点では、当初この時点で明らかにしたかったことが不明のままであり、遅れを感じる。一方で、次年度以降に予定していた病態モデルを用いた検討では、タウリンの有用性を確認でき、測定予定であったことが既に実施できたことから、この点では予定よりも順調に研究が進んでいると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
まず、R6年度は、前年度に実施した四塩化炭素モデルの実験においてはN数が少なく、追加実験が必要な状況であるため、同様の実験を実施する。D-ガラクトース誘発早期老化モデルにおいては、単離した臓器のなかでも測定未実施のものが残されているため、アミノ酸分析や硫化水素等の測定、遺伝子発現変動の解析などを進める。加えて、HPLC並びに質量分析装置を用いて超硫黄分子の測定を行える実験系を立ち上げる必要があり、R6年度に実施する。また、R5年度の研究成果から、阻害実験の必要性が生じたことから本年度実施する。
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