研究課題/領域番号 |
23K10803
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
金子 雪子 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (00381038)
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研究分担者 |
石川 智久 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (10201914)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 膵β細胞 / インスリン分泌 / ジアシルグリセロールキナーゼ / 糖尿病 |
研究開始時の研究の概要 |
我々はこれまでにDGKδが細胞周期を抑制性に制御することでβ細胞増殖を抑制性に制御するシグナル分子であることを明らかにした。本研究では、この機構の病態生理的意義の解明を目指し、肥満などの脂肪酸高負荷条件下ではDGKδによる脂質シグナル制御を介したβ細胞増殖抑制が亢進するのではという仮説を立て検証を行う。さらに、この機構を抑制することにより、β細胞量増加を促進させる新規糖尿病治療法に繋がる可能性について検証する。
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研究実績の概要 |
2型糖尿病におけるβ細胞インスリン分泌機能障害の主要な原因としてβ細胞量の減少が挙げられる。そのため、β細胞量を回復させることができれば、インスリン分泌が改善し、糖尿病の根本的治療に繋がると考えている。我々これまでにβ細胞核に局在するDGKδがβ細胞増殖を抑制性に制御していることを報告した。さらにその制御は高脂肪食摂餌下でさらに顕著になることを見出している。この機構の病態生理的意義の解明を目指し、DGKδによる脂質シグナル制御を介したβ細胞増殖抑制は肥満条件下で亢進するという仮説を立て、この機構の抑制がβ細胞量増加をもたらす新規糖尿病治療法に繋がる可能性を検証する。 今年度はタモキシフェン誘導型β細胞特異的DGKδ欠損マウス(MIP-CreER/DGKδflox)における耐糖能の変化および高脂肪食摂餌による耐糖能および糖代謝、β細胞機能の変化について検討を進めている。タモキシフェン投与後15週間にわたり、正常食、高脂肪食負荷マウスそれぞれにおいて随時血糖値測定、耐糖能試験、インスリン抵抗性試験を行い、糖代謝変化について検証を進めている。また、DGKδ安定発現細胞を用いた脂肪酸処置による細胞増殖制御機構について検証を進めるために、DGKδ安定発現細胞株の樹立を行った。さらに、網羅的遺伝子発現解析によりDGKδがβ細胞において機能するシグナル経路の特定を進めており、こうしたデータの集積により、DGKδの病態生理学的意義の解明を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はタモキシフェン投与によるβ細胞特異的誘導型DGKδ欠損マウスにおける体重推移、耐糖能の変化についての評価を進めた。また、さらに高脂肪食を負荷した際における体重推移、耐糖能の変化についても検証を行い、β細胞特異的誘導型DGKδ欠損が糖代謝に及ぼす影響についてのデータ取得を進めている。また、ドキシサイクリン誘導性DGKδ発現MIN6細胞の樹立も行い、ドキシサイクリン処置により、濃度依存的にDGKδの発現が増加する細胞株を樹立した。 一方、MIN6細胞を用い、脂肪酸処置時におけるDGKδの発現変化についての解析も行っている。さらに、DGKδノックダウンMIN6細胞において、RNAシーケンスによる網羅的遺伝子発現解析を行い、DGKδ欠損により変動する遺伝子の解析を行った。β細胞におけるDGKδの機能を解析するために必要な実験材料の確立やデータの収集が進んでいることから、進捗状況については概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画にしたがい、誘導型β細胞特異的DGKδ欠損に高脂肪食を負荷することによる糖代謝、β細胞機能に及ぼす影響について引き続き検討を続けていく。具体的には血糖値や耐糖能、血中インスリン値、膵β細胞量など各種パラメーターについて解析を進める予定である。MIN6細胞を用いた検討においても、DGKδが脂質代謝と膵β細胞機能に及ぼす影響についてタンパク質発現や遺伝子発現変化の結果を基に検証を進めていく。
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